みなさんは、普段ビリヤードをプレーされますか。
ビリヤードは特別な用意をせずに、街中で気軽にプレーできることから、多くの人々に人気のスポーツです。
ビリヤード場に通う人であれば、「ハスラー」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、ハスラーの言葉の由来に関して知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、ハスラーが持つ色々な意味、そしてビリヤードの世界における意義とその使い方に関して見ていきます。
ハスラーの持つ様々な意味
ハスラーは英語で、hustlerと表記します。
「ハッスル」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
「ハッスル」とは、大まかに言うと「頑張る」というような意味です。
「er」は「ある動作をする人」を意味しますから、ハスラーにはまず「頑張る人」という意味があります。
そこから派生して、ゴリ押しする人、張り切る人、押しのけて進む人、
など中には少しネガティブなイメージを持ってしまうような意味まであります。
この他にも、ハスラーにはギャンブルの世界の詐欺師を意味したり、ギャングの中で麻薬を扱うメンバーという意味もあります。
また、日本ではスズキから発売されている車の名前としても使用されています。
それでは、肝心のビリヤードでのハスラーとはどういう意味なのでしょうか。
ビリヤードにおけるハスラーとは、単にプレーヤーのこと、または特にビリヤード上級者を意味します。
ビリヤードにおけるハスラーの由来
それでは、なぜビリヤードプレーヤーをハスラーと呼ぶことになったのでしょうか。
実は、1961年に上映されたポール・ニューマン主演のビリヤード映画「ハスラー」が人気を博したことから、
ビリヤードプレーヤーをハスラーと呼ぶようになったのです。
映画「ハスラー」の登場によって、ビリヤードプレーヤーという意味のハスラーという単語が創出されたと言えるでしょう。
それでは、映画「ハスラー」はどのような物語なのでしょうか。
映画「ハスラー」
映画「ハスラー」はロバート・ロッセン監督によるビリヤード映画です。
ポール・ニューマン演じるエディと、伝説のビリヤードプレーヤーであるファッツとの闘いを描いています。
原作は、ウォルター・デヴィスの小説であり、ビリヤード映画と言えば「ハスラー」とも言えるほど、多くの人に知られている作品です。
主演のポール・ニューマンは、この作品を足掛かりに独自の演技スタイルを完成させたと言われており、
実際にこの作品でアカデミー賞男優賞を受賞しています。
また、「ハスラー」が人気を博したので、続編である「ハスラー2」も1986年に公開されています。
「ハスラー2」はポール・ニューマンの相方として、当時大ヒット中だった俳優トム・クルーズを起用したことでも知られています。
映画「ハスラー」のあらすじ
それでは、映画「ハスラー」のあらすじを見ていきましょう。
「ファースト・エディ」との異名を持つハスラーである、エディ・フェルソンは、
自分こそが至高のビリヤードプレーヤーであると信じて疑いませんでした。
ある日、エディはある伝説を持つ、プレーヤーに勝負を持ちかけます。
その相手こそが、なんと15年間一度も負けたことがないという伝説を持つ、ミネソタ・ファッツでした。
勝負はエディが優勢かと思われましたが、賭博を生業とするバートは、エディのことを負け犬だと揶揄します。
この言葉に抗おうとするエディでしたが、果たしてバートの言う通り、敗戦を喫してしまいます。
傷心のエディを救ったのが、のちに恋人となるサラでした。
エディとサラは深く心を通わせ合い、後に同棲することになります。
そんな中、かつてエディを負け犬呼ばわりしたバートと、とある酒場で再会します。
その場でバートは、エディのことを再び負け犬呼ばわりし、ファッツに勝つためにはビリヤードの技量だけではなく、
強靭な精神が必要であり、更に金銭的にサポートしてくれるパトロンのような存在が不可欠だと持ちかけます。
しかし、エディはこの申し出を断固拒否し、独力で資金を貯めると啖呵を切ります。
その後、以前と同じように寂寞としたビリヤード場でビリヤード賭博に興じるエディでしたが、
ある勝負の後に相手方から親指を骨折させられてしまいます。
サラの看護もあり、骨折は完治しますが、バートの申し出を受けることを心に決めます。
バートの指示のもと、エディはルイビルの地を訪れます。
ここでも、ビリヤード賭博に挑戦しますが、ルールに慣れないせいか苦戦を強いられます。
そんなエディを見かねたサラが、二人でルイビルの地を去ろうと懇願しますが、エディは聞く耳を持たず、
サラをその場から追い出してしまいます。
追加の資金をバートに要求したのち、ついに勝利を収めたエディ。
しかし、先に会場を後にしたバートによって、恋人のサラが弄ばれた挙句、自らの命を絶ってしまったことを知ります。
激情に駆られ、バートに殴りかかるエディでしたが、駆けつけた警官によって止められてしまいます。
そして、ルイビルで得た資金を元手にファッツに再戦を挑むエディ。
勝負に必要な精神力はルイビルのホテルで獲得した、と自嘲気味に語るエディでしたが、その言葉通りファッツ相手に勝利を収めます。
しかし、そこに登場したのが後援者としてのバートでした。
バートは分け前をよこすようにエディに迫りますが、金のみに執着し、およそ人間らしい感情を持たないバートこそ、
人生の負け犬であると言い負かします。
この言葉に、バートは反論することができません。
最後にエディとファッツはお互いのビリヤードの腕前を称え合うのでした。
以上が、映画「ハスラー」のあらすじです。
いかがでしたでしょうか。
単に、ビリヤードの技量を競い合うだけではなく、人間の恋情や価値観に対する問いなどが含まれており、
かなり見応えのある映画になっています。
ビリヤード界で「ハスラー」という単語を使うべきか
「ハスラー」という単語の由来に関して見てきました。
言葉自体は、単純に人気映画から派生したものでした。
しかし、その前に紹介したように、一部アングラなイメージを持つ意味が含まれていることも確かです。
何しろ、映画「ハスラー」の登場まではビリヤードプレーヤーという意味はこの言葉にはありませんでしたから、
むしろ、本来の言葉の意味としてはそちらのイメージの方が強いと言わざるを得ません。
従って、ネガティブな意味合いを持つ「ハスラー」という言葉を向けられるのを嫌うプレーヤーもいます。
ただ単に、上手なプレーヤーだから「ハスラー」と呼ぼう、というような安易な考えは捨てた方が無難でしょう。
まとめ
「ハスラー」の持つ本来の、複数の意味や、ビリヤード界における「ハスラー」という言葉の由来を見てきました。
映画から派生してできた、「ハスラー」という言葉には、あたかも「名プレーヤー」のような意味合いで、
相手を賞賛する文脈で用いられるものです。
しかし、「ハスラー」という言葉の持つ本来の意味合いから、そう呼ばれることを嫌がるプレーヤーもいます。
ビリヤード場などで、「ハスラー」という言葉を使う際には、細心の注意を払い、相手の反応を見た上で、
不快感を与えないように注意してみて下さい。
ビリヤードは紳士のスポーツとも言われますから、その別名に相応しい振る舞いをすれば、お互い気分良くプレーすることができるでしょう。