みなさんは、卓球をプレーする際、どのようなラケットをお使いでしょうか。
木製のラケットを使う、という人が多いと思います。
しかし、競技卓球をプレーしている人の中には木製ではないラケットを使う人もいます。
木製ではないラケットとは何なのか。
それがこの記事のテーマである「カーボンラケット」です。
ここでは、カーボンラケットとはそもそもどんな物なのかと、そのメリット・デメリットについて解説していきます。
そもそもカーボンラケットとは何か
カーボンラケットという単語を聞いたことのある人は少ないのではないでしょうか。
カーボンとは特殊素材のことで、例としてバタフライ社が採用しているTAMCA5000は強度が鋼鉄の6倍・重量は5分の1です。
その特徴は、「軽くて丈夫」ということ。
卓球という競技に照らし合わせて言えば、「軽くて跳ねる」と言い換えることもできます。
木製ラケットと比べると、重量は軽く、反発力が強いのがカーボンラケットなのです。
カーボンラケットと言っても、ラケット全ての部分が特殊素材でできているわけではありません。
木製ラケットは、何枚かの板を重ね合わせてできていますが、カーボンラケットも基本は同じで、
木材の代わりにカーボンが使われている層があるというイメージです。
特殊素材を挟み込むことで、軽さと反発力の高さを再現しています。
また、カーボンラケットと一口に言っても、ZLCやALCなど、様々な素材の種類がありますが、
ここではカーボンラケットに共通する特徴について紹介していきます。
カーボンラケットのメリット
それでは、カーボンラケットのメリットを見ていきましょう。
軽いのにパワフル
まず初めに挙げられるのが、木製ラケットと比べて軽いという特徴です。
木製で、ある程度のパワーを持たせるためには、どうしても重量を上げていくしかありません。
そうすると、板厚が増えてパワーは出るのですが、どうしても重くなってしまいます。
そこで、合板の間に軽い特殊素材であるカーボンを挟み込むと、重量は軽くなるのにパワーは増す、ということが起こります。
現在は、ラケットの種類が豊富で、同じ種類のラケットの木製版とカーボン版がラインナップされている場合もあります。
木製ラケットの打球感は気に入っていて、反発力だけを少し上げたいというような場合だと、
同じラインのカーボンタイプを使ってみると良いかもしれません。
もし、パワー以外のスキルが同じ相手同士であれば、最後はどうしても力勝負になってしまいます。
パワー以外のポイントに改善すべき点が見当たらない場合には、
カーボンラケットに替えると今まで勝てなかった相手に勝てるようになるかもしれません。
また、筋力のない女性や子供でも簡単にパワーを出すことができるのも嬉しい点です。
ラケットが軽いために、フォアとバックの切り返しもスムーズにすることができ、よりスピーディーなラリーを楽しめるようになるでしょう。
球離れが良い
カーボンラケットを実際に使ってみるとわかりますが、何とも独特な打球感があります。
打球の際の音も、木製ラケットとは違っていて、「カーン」という独特の金属音が鳴ります。
これはカーボンが効いている証拠で、この打球感によって達成されるのが、「球離れの良さ」です。
球離れが良い、とはラケットの打球面にボールが長くくっついていない、ということを意味します。
これにより、ボールの初速が増します。
現代卓球はほとんど全ての選手が前陣速攻型ですから、ボールの初速が速い、ということはとても大きな武器なのです。
カーボンラケットのデメリット
それでは逆に、カーボンラケットのデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
高価である
卓球ショップを訪ねてみたり、ネットショッピングでサイトを見てみると気付く場合も多いと思いますが、とにかくカーボンラケットは高価です。
安いものでも1万円超えは当たり前、高いものだと4〜5万円以上のものも。
それに比べて、木製ラケットは高価なものでも2万円までのラインナップが多く、比較的気軽に色んなラケットを試すことができます。
しかし、カーボンラケットの値段だと、そうコロコロとラケットを替える訳にも行きません。
カーボンラケットの打球感は独特ですので、前述したように木製ラケットと同じラインのカーボン版を使ってみるとか、
カーボンラケットの中でも木製ラケットに打球感の近い「インナーカーボン」のラケットを使ってみる、などすれば失敗は少ないでしょう。
もし、とにかくカーボンラケットを試したい、という場合はリセール価格が高いラケットを試してみることで、
出費を最小限に抑えることができます。
カーボンラケットの打球感には共通するものがあるので、一番安いラケットを試してみて、
自分に合うようであれば高価なラケットに移行していくのも良いかもしれません。
回転をかけづらい
カーボンラケットのメリットとして、球離れの良さから来る「初速の速さ」を挙げました。
それは「球持ちが悪い」、すなわちラケットに球が触れている時間が少ないことを意味します。
そうすると困ったことが1つ起こります。
そう、卓球の醍醐味である「回転」をかける時間が十分にないのです。
つまり、カーボンラケットを使う人の大前提として、「回転をかける感覚」を習得しているということが必要となってきます。
トップ選手であれば、十分に回転をかける能力が備わっていますので、パワーや細かいテクニック、筋力などが勝敗を分けることもあります。
しかし、アマチュアの世界では何よりも回転をかける感覚を養うことが優先されます。
目先の相手に勝つことだけを目的として、木製ラケットからカーボンラケットに替えることはお勧めできません。
コントロールが難しい
カーボンラケットは、木製ラケットに比べてボールの初速が速いのが特徴です。
そして、その弾道は木製ラケットが放物線を描くのに対し、直線的です。
これは、カーボンラケットはボールを台に入れるためのコントロールが難しいということを意味します。
ボールを台に入れるためには、放物線を描くように打つことが大事なのですが、前述のように、
カーボンラケットは木製ラケットに比べて、回転をかけづらいのが特徴でした。
それでは、カーボンラケットで威力のあるボールを打ちつつ、コントロールも高めたいとなると、どうすれば良いのでしょうか。
そのためには、できるだけ高い打球点でボールを打つことが必要なのです。
高い、とは物理的に高いことを意味します。
つまり、ボールの頂点で打球することで、直線的な軌道でも、ボールを台に収めやすくすることができるのです。
しかし、常に高い打球点を保つことは並大抵のことではありません。
一瞬でもタイミングが遅れてしまうと、ボールの打球点は低くなってしまうので、ネットミスやオーバーミスにつながってしまうのです。
まとめ
カーボンラケットとは何か、とそのメリット・デメリットについて紹介しました。
カーボンラケットでは回転がかけづらいので、
卓球を始めたばかりの人は木製ラケットで回転をかける感覚を身につけてからカーボンラケットに移行するのが良いかと思います。
カーボンラケットにも様々な種類がありますので、ぜひご自身に合ったラケットを探してみてください。
また、世界のトップ選手のカーボンラケット使用率はとても高いことも知られています。
徐々にレベルを上げていき、あとはパワー勝負、という段階まで来たら、カーボンラケットの導入を考えてみても良いかもしれません。