みなさんは、クリケットというスポーツ名を聞いたことがありますか。
聞いたことはあるけど、詳しくは知らない、という人も多いのではないでしょうか。
日本ではマイナーなスポーツとして認識されていますが、実は世界での競技人口はサッカーに次いで第二位なのです。
クリケットは、野球に似たスポーツです。
日本では野球はかなり人気ですので、幼い頃にプレーしていた人が留学先で野球サークルを探し、クリケットを始めることになる、というパターンも多いようです。
この記事では、野球とクリケットの違いや、基本的なクリケット用語、またクリケットにしかない特徴を紹介していきます。
クリケットと野球の違い
まずはクリケットと野球の違いについて解説していきます。
人数・試合時間・道具に大きな違いがあります。
それぞれ見ていきましょう。
人数
野球に必要な人数がチームごとに9人であるのに対し、クリケットに必要な人数は11人です。
選手交代は怪我など、不可抗力の場合を除き、認められていません。
試合時間
野球だと表・裏を合わせて1回と呼びますが、クリケットではこれをイニングと呼んでいます。
1イニングが終了するために必要なアウト数は、なんと10アウト。
野球に比べてずいぶん多いですが、通常2イニングで試合終了となります。
しかし、10アウトを取るまでに1日かかってしまうことも多々あるようで、投球数を制限したり、1イニングで試合終了とするルールが導入されることもあります。
これらの試合形式下でも、クリケットの試合時間は3時間、5時間から最長5日間もかかることがあり、平均時間が3時間の野球と比べて、かなり長いと言えるでしょう。
また、クリケットの試合はコイントスから始まりますが、実際のプレーはコイントスから30分後に開始されます。
このようなことからも、クリケットは野球より時間のかかるスポーツだと言えるでしょう。
道具
野球のバットが棒状であるのに対し、クリケットのバットは平たいものを使います。
また、野球では全ての選手がグローブを使用しますが、クリケットでは捕手以外の選手は素手でボールをキャッチします。
素手でキャッチできるなら、ずいぶん柔らかいボールを使っていそうですが、存外クリケットのボールは普通に硬いです。
そして、速度も野球のように速いですので、一見怪我をしそうに思えますが、キャッチすると同時に手を後ろに引くと痛くないそうです。
しかし、それは上手にキャッチできた時の話。
ボールを受け損なってしまうと、とても痛いそうです。
また、野球のボールは白であるのに対し、伝統的クリケットのボールは赤を使います。
これは、伝統的クリケットのユニフォームが白であることに起因します。
逆に、1日で終わるワンデークリケットでは、ユニフォームがカラフルなので白のボールを使っています。
クリケット用語
前述の通り、クリケットは野球とよく似ていますが、微妙に違う点があります。
ここでは、クリケットの独自性を表す用語を紹介します。
ボウラーとバッツマン
ボウラーは野球で言うピッチャー、バッツマンはバッターのことを指します。
ボウラーの投球数は6球で、6球を投げ終えると次のボウラーに交代となります。
この「6球」のことを、クリケットでは1オーバーと呼びます。
野球では、1試合を通じて、ずっと同じピッチャーが投げ続けることも珍しくありませんので、このルールはかなり特徴的と言えるでしょう。
つまり、クリケットの試合では最低2人のボウラーが必要なのです。
続いて、バッターであるバッツマンについて見ていきましょう。
何より特徴的なのは、バッツマンも2人ペアだということです。
クリケットでは、2人で得点をしていきます。
BATの複数形がBATSなので、バッツマンと呼ばれていて、現在打撃を行っている方をストライカー、もう1人のパートナーの方をノン・ストライカーと呼びます。
ピッチ
ピッチとは、野球で言うピッチングのことではありません。
クリケットは、楕円の芝生グラウンドで行われますが、ピッチとはその中央部にある長方形のスペースを指します。
ピッチは、打撃や投球を行うスペースで、野球で言うところのダイアモンドのことです。
公式戦など、規模の大きな試合は芝生のグラウンドで行われますが、一般的に楽しむレベルであれば、芝生のない場所でプレーされる場合も多いようです。
ワイドボール
ワイドボールは野球で言うところの、いわゆる「ボール」を指します。
ただし、クリケットではワイドボールを投げてしまうと1点を失ってしまいます。
野球では、ボールは4球でやっとフォアボール扱いとなるのですから、クリケットの規定は厳しいように感じられます。
バッターの役割であるストライカーが、ワイドボールになりそうな投球に手を出した場合、その投球はワイドボール扱いにはなりません。
この点は野球と同様だと言えるでしょう。
試合中にティータイム?
クリケットが発祥した国はイギリスです。
イギリスというと、紅茶というイメージもあるのではないでしょうか。
実際、イギリス人はティータイムの時間をとても大切にしています。
クリケットもイギリス生まれの競技、ということもあり例外ではありません。
なんと、試合中にティータイムの時間が設けられていることで有名なのです。
では、なぜわざわざクリケットの試合中にティータイムの時間を取るのでしょうか。
ここではその理由について触れていきます。
試合時間が長いから
何と言っても第一の理由は、前述した通りの試合時間の長さにあります。
最長で5日間、最短でも1試合に3時間かかるクリケットの試合。
当然、プレーしている選手にはかなりのスタミナが必要とされます。
そこで、ポリフェノールを含む紅茶の出番がやってきます。
ポリフェノールを摂取していると、運動の際のエネルギー源として先に脂肪を使うことができるのです。
通常ですと、糖質が最初にエネルギーとなってしまい、バテやすくなってしまいます。
しかし、本来副次的に使われる栄養素である脂肪を先に使うことで、エネルギーの節約ができ、結果的に長く動けるということになります。
ティータイムが設けられるのは、2時間に1度。
ちなみに、選手達には紅茶だけではなく、ケーキやサンドイッチも供され、プロの試合だと、ティータイム中の様子も放送されています。
試合には関係のないシーンですが、なかなか視聴者に好評だそうです。
何だか、日本の将棋の「おやつタイム」が思い出されますね。
交流を重んじているから
イギリスは紳士と淑女の国。
そこで、かつては貴族を中心に行われていたクリケットは、紳士の精神を今も持ち続けています。
ティータイムがある理由の2つ目は、「交流のため」です。
敵味方関係なく、ティータイム中はお喋りに興じます。
昔から貴族社会ではサロン等、人が集まってお喋りする活動が毎日のように催されていました。
伝統的な精神が、今も引き継がれているのですね。
まとめ
クリケットという名称は聞いたことがあっても、イメージが湧かなかった方も、少しクリケットの全体像が見えてきたのではないでしょうか。
クリケットの投球はプロだと160km/hを超えるそうで、見応えのあるスポーツです。
また、試合時間や日数が長いことで知られるクリケットですが、長い時間をかけても結局引き分けになってしまうこともあるようです。
そんなところも面白く感じられますね。
また、ティータイムの様子なども動画で見ることができますので、気になった方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。