イギリスの名門サッカークラブ、マンチェスター・ユナイテッドを27年もの間率いてきた、名将アレックス・ファーガソン。
その長い監督生活の中で、数々の名言を残してきました。
含蓄あるそれらの名言について紹介していきます。
ファーガソンって、どんな人?
アレックス・ファーガソンはスコットランド出身。スコットランドのサッカー一部リーグで得点王になったこともあります。
その後、サッカー指導者の道を歩み、スコットランドの3部リーグの監督を務めました。
就任当初は、登録選手が8名しかいないという状況でしたが、なんと、たったの117日でそのチームを首位に押し上げるという快挙を成し遂げました。
その後も、1部リーグのチームやスコットランド代表を率いて順調にキャリアを積み重ね、1986年にマンチェスター・ユナイテッドの監督を務めることとなります。
ファーガソンの名言5選
ファーガソンの名言を5つ紹介していきます。
ファーガソンの名言その①
彼らは、彼(ヴェンゲル)が知的な人だと言っているね? 5つの言語を話すから!私は5つの言語を話すコートジボワール出身の15歳の男の子を知っているよ!
ロンドンの有力クラブチーム「アーセナル」の監督を長く務めた、アーセン・ヴェンゲル。
Jリーグの名古屋グランパスを率いたこともあります。
そのヴェンゲルとファーガソンは、自他ともに認めるライバル関係でした。
ヴェンゲルがアーセナルの監督に就任する際、イギリスでの知名度は十分ではなく「Arsène Who?(アルセーヌって、誰?)〞」と言われていました。
ファーガソンも、ライバルチームにあまり知名度のない新米監督が来たということで、プレッシャーをかけようと発したのが上記の言葉です。
ヴェンゲルはドイツとの国境に生まれ、多言語を操れるインテリでした。
弱小クラブからキャリアを積み重ねてユナイテッドでの立場を築いたファーガソンの目には、ヴェンゲルが鼻もちならない人物に映ったようです。
ファーガソンとヴェンゲルのライバル関係は、この後20年近く続くこととなります。
ファーガソンの名言その②
デビッド・ベッカムは、英国で最高のサッカー選手だが、それは神から与えられた才能のためではなく、大多数の才能のない選手たちが考えもしないような執拗な勤勉さで練習しているからだ。
デビッド・ベッカムはロンドン出身のサッカー選手です。クロスやプレースキックの名手で、イングランド代表のキャプテンも務めています。
2002年日韓ワールドカップでは、その甘いマスクも相まって、人気が急上昇しました。
ベッカムがマンチェスター・ユナイテッドで活躍し始めたのが1990年半ばごろ、1999年には国内リーグ・国内カップ・チャンピオンズリーグの3冠達成に貢献しました。
そんなベッカムについて、ファーガソンは上記のように評しました。
華麗なキックが注目されがちなベッカムですが、とにかく練習熱心な選手で、ファーガソンもその点には常に注目していたようです。
のちに、ベッカムはスペインのレアルマドリードに移籍します。
そこで出場機会に恵まれない時も、熱心に練習に取り組むベッカムをチームメイトが見ており、監督にベッカムの出場を懇願した、というエピソードがあります。
ベッカムはまさに「努力の天才」であり、ファーガソンはその点を評価して彼を重用し続けたと言えます。
ファーガソンの名言その③
選手には「バスに乗り遅れるな」と言うんだ。このクラブは進化しなければならないし、バスはいつまでも乗客を待ったりしない。
ファーガソンとベッカムにまつわる名言をもうひとつ紹介します。
ベッカムはマンチェスター・ユナイテッドで重要な足跡を残してきましたが、2003年ごろにはチームでの立場が微妙なものになっていました。
これにはいろいろな理由がありますが、ベッカムの結婚を機に彼の私生活に変化があったこともそのひとつと言われています。
チャンピオンズリーグ準々決勝のことでした。
ファーガソンはベッカムに「デイヴィッド、明日はベンチスタートだ」と告げると、ベッカムは首を振りながら更衣室に向かい、そのまま戻ってきませんでした。
その時、ファーガソンはベッカムを引き止めなかったそうです。ファーガソンの言い回しによれば、ベッカムは自ら”バスを降りた”のです。
ファーガソンは、自らのチームをよく「バス」に例えました。
選手は、バスに乗ることもできるし、降りることもできる。
ただし、ユナイテッドの選手にふさわしい振る舞いをしなければバスを下ろされてしまうし、自分の都合を優先させれば、
バスはその選手を待たずに出発してしまうのです。
ベッカムがマンチェスター・ユナイテッドを去ったのは、この件が起こって間もない頃でした。
ファーガソンの名言その④
ルーニーと18歳で契約したとき、誰もが『21歳のときはどうなるだろう』と言っていた。今、彼は21歳で、人々は『25歳の時にはどうなるだろう?』と言っている。そういう風に常に運命づけられているんだよ。
ウェイン・ルーニーは2004年にユナイテッドに加入しました。
プライベートではやんちゃでしたが、いざピッチに立てば得点を決めたりパスも出せたり、守備も献身的に行うという万能なプレーヤーでもありました。
ルーニーの性格も影響し、加入して数年後にはファーガソンとの仲も険悪になっていきました。
2013年のリーグ優勝時には、チームに貢献したにも関わらず殊勲者として名を挙げられることがありませんでした。
そんなルーニーですが、加入当初は大いに期待されていました。実際にルーニーは加入時から活躍し続け、ファーガソンから上記の言葉を引き出しています。
ちなみに、25歳を迎えた2010年シーズンでは、プレミアリーグ20周年記念のベストゴールを決めました。プレミアリーグでの通算100得点も達成しています。
ただし、同じ年に迎えた南アフリカワールドカップでは、期待に反して無得点に終わっています。
ファーガソンの名言その⑤
あの小僧はオフサイドポジションで生まれたに違いない。
イタリアに、フィリポ・インザーギというFWがいました。
シュートやドリブルの技術にはさほど長けてはいませんでしたが、オフサイドラインを抜け出す能力がずば抜けており、印象的なゴールを量産しました。
ゴール前に一瞬現れ「いつの間にか」ゴールを決められてしまうので、相手チームは呆気に取られてしまいます。
気が付けばゴール前に現れ、楽々とゴールを陥れているかのように見えてしまいますが、ボールを持っていない時に様々な駆け引きを相手DFと行っているのです。
いろいろな選手や監督がインザーギについてコメントしていますが、ファーガソンの上記の言葉は、インザーギの特徴を端的に表しているもののひとつと言えます。
まとめ
ファーガソンには、規律を重んじ選手にもチームへの忠誠を誓わせるなど厳しい面が見られました。
反面、選手への愛情も惜しみなく注ぐ人物でした。ユナイテッドの監督を長年務められたのも、偉大な実績はもちろん、その人柄によるところも大きいでしょう。
数々の名言も、彼の激しい情熱や人生経験から導き出された、含蓄のあるものが多いです。
今回取り上げたもの以外にも、いろいろな名言があります。機会があれば、調べてみるのも面白いと思います。