あなたはフルマラソンを完走できると思いますか?
おそらくほとんどの人が「NO!」とか「絶対無理!」と言うでしょう。
しかしその考えは間違っています!
トレーニングと自分に適したペース配分を知っているだけで、誰でもフルマラソン完走が可能なのです。
今回は、初心者がフルマラソンを完走するために頭に入れておくべきポイントを解説したいと思います。
この記事を読めば、あなたはもう42.195kmを走りたくてウズウズしてくるはずです!
フルマラソンのペース配分は主に3つ
フルマラソンのペース配分は、主に「イーブンペース」、「アクティブスプリット」、「ネガティブスプリット」の3パターンがあります。
どのペース配分にも一長一短があるので、まずはそこから説明し、初心者に合ったペースを紹介します。
一定のリズムで走る
最初から最後まで同じペースで走り続けることを「イーブンペース」と呼びます。
ペースのアップダウンによる無駄な体力の消耗を抑え、効率良くエネルギーを消費できるため、体に与えるダメージが比較的少ない走り方です。
一般的には、一番好タイムが出やすいペース配分です。
ただし、皆さんご存知の通り、マラソンコースは一様ではなく、大会によってさまざまなコースがあります。
例えば、上り坂や下り坂があったり、トラックや舗装路など路面タイプも異なるので、特に初心者にとっては、
イーブンペースを守ることは難しいでしょう。
まずは自分の運動能力や経験値に合ったペースを把握することに努めましょう!
前半はやや飛ばし気味に入って、後半はペースダウン
最初はペースアップして、終盤にかけてペースを抑える走り方を「ポジティブスプリット」と呼びます。
スタートからややペースを上げて走ることで、まだ体が元気な前半のうちにタイムを稼いでおきます。
30kmを走った辺りからどうしても足が攣ったり、関節が痛み出したりするので、終盤のペースダウンを想定した走り方です。
マラソンを何回か経験し、タイム更新を目標にする市民ランナーの多くは、ポジティブスプリットになりやすいです。
ただし、スタートからオーバーペースで入り過ぎると、後半から足が痙攣し、全く動かなくなる恐れがあります。
そうなると大失速につながり、最悪の場合、完走すら危うくなるので要注意です。
前半は抑え気味、後半からペースアップ
最初はゆったりペースで、中盤から徐々にペースアップする走り方を「ネガティブスプリット」と呼びます。
スタートはジョギング感覚でリラックスして走ることで、序盤で消費するエネルギーを抑えます。
そして、中間点を過ぎた辺りから徐々にペースを上げて行き、30〜35km地点で一気に貯めたパワーを解放します。
これにより本来はペースが落ちる後半で、余力がある分、逆に楽に走ることができます。
さらに、ペースアップすることで、前を走っていた選手をごぼう抜きできるので、
ますます「完走できるぞ!」と言う勇気とパワーが湧いてくるのです。
初心者に適した走り方とは
それでは初心者向けの走り方はどれなのでしょうか?
それはずばり、ネガティブスプリットをお勧めします!
ハーフマラソンなら走ったことあるけど‥という人もいれば、10 km以上走ったことがない人だっているでしょう。
また、長距離を走っていると、転倒して怪我をしたり、脱水症状になったり、アクシデントに見舞われるかも知れません。
アクシンデントが発生したとき、余力がなければ、対応できません。
特に、マラソン経験が浅い初心者は、自分のからだがどこまでフルマラソンに耐えうるのかまだ分かりません。
フルマラソンは、30 kmを過ぎてからが勝負どころと言われています。
ですから、最初はどんなに体が元気でも
・30 kmまでは、ただの準備運動
・人に抜かれても気にしない
そんな言葉を呪文のように唱えながら走りましょう!
目標ラップを設定しておこう
海外にはホノルルマラソンのように、制限時間がない大会もありますが、国内のマラソン大会には制限時間が設定されています。
大会にもよりますが、制限時間の多くは、5〜6時間が一般的です。
4時間を切ることを「サブ4」と呼びますが、初マラソンでサブ4を達成するためには、かなり体力に自信がないと難しいです。
日頃から中距離走のトレーニングをしている人や別のハードなスポーツをしている人でもない限り、
初マラソンでは、サブ6かサブ5を目指しましょう!
6時間以内に完走するペース配分とは
ぴったり6時間でゴールするためには、イーブンペースであれば
8分32秒 / km
で走ればOKです。
かなりゆったり目のペースで、完走することが第一目標になります。
初心者とはいえ体力に多少の自信がある人は、まだ余裕がある序盤は物足りなく感じるかも知れません。
スピードを上げたくてムズムズする気持ちをグッと抑えて、ネガティブスプリットの呪文を思い出しましょう!
目標タイム、ラップなどを表にしてみました。
2分少々の時間的余裕を持ってゴールできるタイムに設定しています。
もちろん、コースによっては、キツい上り坂があったりして途中で歩いた方がいいときもあるので一概には言えませんが、参考にはなると思います。
目標タイム | 区間スピード | 区間ラップ | 8分32秒/kmのイーブンペースで走ったときのタイム | |
5 km | 45:00 | 9:00 / km | 45:00 | 42:40 |
10 km | 1:30:00 | 9:00 / km | 45:00 | 1:25:19 |
15 km | 2:15:00 | 9:00 / km | 45:00 | 2:07:59 |
20 km | 2:57:30 | 8:30 / km | 42:30 | 2:50:38 |
中間点(21.0975 km) | ー | 8:30 / km | ー | 3:00:00 |
25 km | 3:40:00 | 8:30 / km | 42:30 | 3:33:18 |
30 km | 4:22:30 | 8:30 / km | 42:30 | 4:15:57 |
35 km | 5:02:30 | 8:00 / km | 40:00 | 4:58:37 |
40 km | 5:41:15 | 7:45 /km | 38:45 | 5:41:16 |
COMPLETE! | 5:57:43 | 7:30 /km | 16:28 | 6:00:00 |
前半は抑え気味に入って、中間点前後から30kmまでは、平均ペース8分32秒/km前後を維持しましょう。
30kmを過ぎてから徐々にペースアップし、35kmを過ぎてから余力があれば、もう大丈夫!
おそらく抜かれる人数よりも抜く人数の方が多くなってきて、だんだん楽しくランナーズハイになればしめたものです。
40kmを過ぎたら、ゴールは目の前!
これまで温存してきたパワーを好きなだけ爆発させて、ペースアップして下さい。
5時間以内に完走するペース配分とは
ぴったり5時間でゴールするためには、イーブンペースであれば
7分7秒 / km
で走ればOKです。
サブ6よりもグンと早いペースになりますが、序盤に時間的な貯金をつくっておけば、終盤でトラブルが起きても対応できる余裕が生まれます。
足が攣ってストレッチをするため立ち止まることもあるでしょう。
疲労が蓄積してくると、しばらく休んだり歩くことだってあると思います。
また終盤にハードな上り坂があるコースであれば、なおさら序盤にタイムを稼いでおきたいところです。
目標タイム、ラップなどは以下の表のとおりです。
こちらも2分少々の時間的余裕を持ってゴールできるタイムに設定しています。
目標タイム | 区間スピード | 区間ラップ | 7分7秒/kmのイーブンペースで走ったときのタイム | |
5 km | 37:30 | 7:30 / km | 37:30 | 35:33 |
10 km | 1:15:00 | 7:30 / km | 37:30 | 1:11:06 |
15 km | 1:52:30 | 7:30 / km | 37:30 | 1:46:39 |
20 km | 2:27:30 | 7:00 / km | 35:00 | 2:22:12 |
中間点(21.0975 km) | ー | 7:00 / km | ー | 2:30:00 |
25 km | 3:02:30 | 7:00 / km | 35:00 | 2:57:45 |
30 km | 3:37:30 | 7:00 / km | 35:00 | 3:33:18 |
35 km | 4:11:15 | 6:45 / km | 33:45 | 4:08:51 |
40 km | 4:43:45 | 6:30 / km | 32:30 | 4:44:24 |
COMPLETE! | 4:57:28 | 6:15 / km | 13:43 | 5:00:00 |
サブ6と比べるとだいぶんペースアップしていることが分かります。
1時間短くなるとこれだけスピードが違ってきます。
まとめ
今回は、マラソン初学者が、フルマラソンを完走するために必要な心得を解説しました。
もちろん人によって、基礎体力が違いますし、準備期間も違うので、ネガティブスプリットの心得が絶対とは言えません。
ですが、スタートから頑張りすぎると、レース中盤から疲労や痛みに耐え切れなくなって、大失速に繋がります。
30km地点でこの状態だと残りの距離は歩き地獄と化し、完走すらままならなくなります。
最初はジョギング程度の試運転で、30kmを過ぎた終盤に徐々にペースアップという鉄則を守りましょう!