ネットボールというスポーツを、日本国内では知っている方が少ないかもしれません。
しかしながら、オリンピック TOKYO2020の正式種目の候補に上がった程、世界ではメジャーなスポーツです。
ネットボールとは?
INF より引用
ネットボール(Netball)とは、主にイギリスを中心に、80を超える国と地域において競技人口が2000万人を超えるスポーツです。
2000万人というのは、ラグビーの競技人口と同じくらいの規模です。
ネットボールの歴史とは?
1890年代にアメリカでバスケットボールが発明され、そのルールが確立されました。
その後、バスケットボールはイギリスに渡り、女性(主に貴族)向けにそのルールが変更されました。
こうして、現在のネットボールとなるスポーツが発明されました。
その後、1920年代、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドに競技団体が設立されました。
1930年代には、オーストラリアとニュージーランドの国際試合が行われます。
しかし、この頃は各国によってルールが異なり、国際標準のルールはありませんでした。
その後、1960年にイングランド、オーストラリア、ニュージーランドなど、合計6カ国が集まり国際基準ルールを策定し、
国際競技団体である女子バスケットボール・ネットボール国際連盟を設立しました。
現在の国際ネットボール連盟は、この時に設立された女子バスケットボール・ネットボール国際連盟が礎になっています。
日本には、1990年に神山雄一郎(当時の群馬県立女子大学教授)が、研究先であるオーストラリアから持ち帰り、紹介されました。
神山教授は生涯体育が専門であり、生涯体育にネットボールは適していると考え、普及を始めました。
日本では、1999年から日本ネットボール選手権が開催されています。
日本選手権は、開催当初、女子だけが参加できるものでした。
その後、男女混合で出場可能な全日本ミックスネットボール選手権が、2012年から開催されています。
しかしながら、バランス良く男女混合で参加できるチームが多くないためか、2017年からはミックスではなく、男子部門として運営されています。
いずれにせよ現在では、女性だけでなく、老若男女が楽しむスポーツとして広まっています。
ネットボールの主な特徴は?
バスケットボールをルーツに持つスポーツなので、似たスポーツと捉えられることが多いです。
ボールを手で扱ったり、ゴールのネットにボールを入れることが得点となったり、表面的には似ていますが、その特徴は大きく異なります。
- 選手はポジションごとに役割があり、コート内で動けるエリアが決まっている
- ドリブルをすることは出来ず、パスとシュートのみでボールを動かしていく
- ボールを保持している選手への接触は禁止されており、90センチ以上離れてプレイする
- 攻撃側のボールを奪うことで、守備側は攻撃に転じる(ボールを奪う際の接触は禁止)
- 競技者の年齢や体力などにに合わせて、試合時間、コートやボールの大きさなどの調整が柔軟にできる
現在は老若男女が行うスポーツとなっていますが、「ネットボール誕生当時の女性」に合わせた特徴ともいえます。
ネットボールのポジションとは?
ポジション毎に、選手の役割とコートの中で動けるエリアが決まっています。
- GS(ゴールシューター)
相手側ゴールサード内(ゴールサークルを含む)のエリアを動けるポジションです。
シュートを打てるポジションであり、チームの得点を担う役割です。
- GA(ゴールアタック)
相手側ゴールサード内(ゴールサークルを含む)とセンターサード内のエリアを動けるポジションです。
GSと同様にシュートを打てるポジションです。GSへボールを供給する役割も持っています。
- WA(ウィングアタック)
相手側ゴールサード内(ゴールサークルを除く)とセンターサード内のエリアを動けるポジションです。
攻撃的なポジションを担当し、前線にいるGAやGSへボールを供給していきます。
- C(センター)
ゴールサークル以外のコート内のエリアを動けるポジションです。
チームの司令塔であり、攻守の要と言えます。
- WD(ウィングディフェンス)
自陣側ゴールサード内(ゴールサークルを除く)とセンターサード内のエリアを動けるポジションです。
攻撃側のプレイを防ぐ、守備的ポジションです。
- GD(ゴールディフェンス)
自陣側ゴールサード内(ゴールサークルを含む)とセンターサード内のエリアを動けるポジションです。
GKと連携して、守備全般を担います。
- GK(ゴールキーパー)
自陣側ゴールサード内(ゴールサークルを含む)のエリアを動けるポジションです。
攻撃側のGSやGAが放つシュートを防ぐ、チームの壁となる役割です。
JNA より引用
ネットボールの魅力とは?
ポジションごとにコート内で動くとができるエリアが決められており、それぞれの役割が明確です。
そのため、コート内の選手7人での連携がとても重要になります
ドリブルがないため、パスでコート内をボールが動いていきます。
そのため、とてもボールの動きが速くなります。
また、選手同士の距離が保たれているため、シュートの決定率が高いことも魅力です。
日本の公式戦では65%程度、世界選手権クラスになると80%を超えています。
そして、トップレベルでは95%に達する選手もいます。
これは得点の多さにもつながっています。
初心者の試合でも、1試合で20〜30点が入ります。代表クラスになると、1試合60点程度にもなります。
これくらい得点につながる場面がたくさんあると、運やその時の調子などで、試合が左右される要素が格段に少なくなっています。
チームのレベル差が、中盤(センターサード)で明確に出ます。
ドリブルが出来ず、ポジションごとに動けるエリアが決まっているので、個人の力で大きく状況を打開することは、困難です。
センターサードでは、GSとGK以外の4選手(両チーム合わせれば8選手)が、攻防を競います。
そのため、一部の選手の調子が悪かったり、単純な運が、試合結果に影響することは多くないです。
このように、ボールを持つ攻撃側が有利なゲームで、番狂わせが起きにくいスポーツです。
その分、攻撃側が失敗したときや守備側がボールを奪取した時には、ゲームの流れが大きく変わる可能性があります。
ネットボールの競技としての概要
INF より引用
コートとポスト
JNA より引用
コートの大きさ、引かれているラインなどは、上図の通りです。
左から右に攻める場合、左側が自陣側ゴールサード、中央がセンターサード、右側が相手側ゴールサードです。
全体を3つに分けているので、サードという用語が使われています。
INF より引用
ゴールポストはバスケットボールと異なり、後ろ側に板(バックボード)が設置されてません。
リングのみのゴールを使用します。
使用するボールは、ネットボール5号球という規格の専用球です。
専用球が使用できない地域では、同じ大きさであるサッカーボール(5号球)で代用することもあります。
公式試合では、ポジションを表記したユニホームを選手は着用します。
長袖シャツ、ロングパンツは公式試合では着用しません。
しかしながら、公式試合を除けば、通常の運動着を着用したり、ポジションを表記したビブスを使用します。
ネットボールのチーム構成と審判
1チームは12人編成で、そのうち7人がコート内で試合に出場できます。
試合時間内であれば、選手交代に制限はありません。
選手交代は休憩時間、ハーフタイム、負傷による試合中断時に行われます。
公式試合では審判は2名です。右半分、左半分にコートを分割し、それぞれを1名ずつの審判が担当します。
ネットボールの主なルール
- 試合の流れ
センターサークルよりセンター(C)の選手がセンターパスを行うことで、試合開始です。
すべての選手はボールを持ってから、パスまたはシュートを3秒以内に行う必要があります(3秒以上ボールを保持しているのは反則)。
シュートしたボールが、ゴールリングを通過すると、1得点となります。
GS、GA以外の選手がシュートを行ったり、GS、GAでもゴールサークルの外から行ったシュートは、得点となりません。
ボールがゴールポストに当たって、コートに戻った場合は、試合は続行されます。
コート外にボールが出た場合には、相手チームのスローインにより試合が再開されます。
得点の後は、得点したチームに関わらず、センターパスを交互に行うことで試合が再開されます。
- 試合時間
試合時間は、1クォーター15分で4クォーターまであるので、合計60分です。
第1クォーター終了後に3分間のクォータータイム、第2クォーター終了後に5分間のハーフタイムがあります。
第3クォーター終了後に、3分間のクォータータイムがあり、第4クォーターを経て、総得点数が高いチームが勝利です。
- 主な反則
オフサイド
自分の動ける範囲以外の範囲へ進入した場合です。
オブスタラクション
ボールを保持している選手へ90センチ以内に近づいて、守備をした場合です。
90センチの間隔は、選手と選手の足の間をコートで上で測ります。
腕を突き出して攻撃を防ぐ行為、ボールを押さえ込んで動かさない行為なども含まれます。
コンタクト
故意的または偶発的を問わず、相手選手の動きを妨害する接触をした場合です。
ヘルドボール
パスもしくはシュートをするまでに、3秒以上ボールを保持した場合です。
ショートパス
2者間のパスを、第3者が入れない距離で行った場合です。
オーバー・ア・サード
投げたボール(パスもしくはシュート)が、どの選手にも触れることなく、コートの1/3(サード)以上を超えた場合です。
ステッピング
ボールを保持した状態で、コートに片足が着地した時、その点から、足を踏み出したり、ジャンプしたり、足を引きずったりする行為をした場合です。
まとめ
国際競技団体(国際ネットボール連盟 INA)だけではなく、日本でも競技団体(日本ネットボール協会 JNA)も存在します。
また、世界大会であるネットボール・ワールドカップも4年に1回行われています。
日本代表チームだけでなく、各地に様々なチームがあります。
興味が湧いた方は、ぜひやってみてはいかがでしょう。