パントキックということばを聞いたことがありますか?
パント(punt)とは、サッカーやラグビーなどでボールをキャッチし、手から落として地面につく前に前方へ向かってけることを言います。
サッカーにおいて、手で持ったボールを地面に落とさずキックするポジションといえばゴールキーパーです。
サッカーにおいてディフェンスの最後のとりでのゴールキーパーは、攻撃のスタートになることもよくある重要なポジションです。
このことから、サッカーにおけるパントキックはゴールキーパーのプレーの1つということになり、
攻撃のスイッチを入れたりゆるめたりすることができるパントキックは、サッカーではかかせないプレーということがわかります。
サッカーのパントキックが上手い選手かどうかは、どのタイミングで、またうまく長短を使い分けて正確にパントキックをけることができるかを見ることでわかります。
パントキックの種類
パントキックは大別すると3種類のけり方があります。
サッカーにおいてゴールキーパーのパントキックでは、さまざまな状況やレベルに合わせて3種類をけりわけられています。
正面キック式
からだの正面にボールを落として、あしをまっすぐ縦に振ってボールをけるパントキック正面キック式は、
主に少年サッカー(小中学生)が行っているけり方で、サイドボレー(南米型)よりは簡単に行うことができます。
欧米型とも呼ばれています。
けり方のコツ
●より安定したトスができるようになるように、ボールを両手でもちましょう。
●トスは高く上げすぎないようにして、低めにけるようにしましょう。
高めに上げるとタイミングがつかみづらく、高くけり上げてしまう原因になります。
●しっかりと足の甲でボールの中心をとらえて、体の動きに無理のないように自然にけるようにしましょう。(インステップキック)
メリットとデメリット
メリットは、わりと容易にできることからキーパーをはじめたばかりの人や成長段階の選手向けにはよいけり方と言われています。
落としたボールをまっすぐそのままけるだけなので、ミスが少なく安定して遠くに飛ばせるため、このけり方をすることが多いです。
また、高くボールを飛ばすことができるので、時間が稼げるところもメリットです。
サッカーの試合でリードしているときや、味方に落ち着きがないとき、またディフェンスラインを上げたいときなどに効果的なけり方です。
デメリットは、ボールが高く飛び上から落ちてくるようなコースになるので、それを受ける味方がコントロールしにくいことです。
また、少し相手に分があるボールになってしまう場合があるというところもデメリットです。
サイドボレー
パントキックで、からだの斜め前にボールを落としてあしをボレーキックのように横から出すけり方がサイドボレーと呼ばれるけり方です。
南米型とも呼ばれ、プロのサッカー選手のほとんどが行っているパントキックがこのけり方です。
横から足を入れ、きれいにバックスピンがかかったボールは低くて伸びのある美しいコースで飛んでいきます。
カウンターにも有効なので、味方がフリーになったときに素早くボールを出すことができます。
けり方のコツ
●トスは横に置くようにします。高く上げるとけるタイミングがつかみづらく空振りする原因にもなります。
●ボールの中心より少し下の方をあしで切るようにけります。
●足がどこに向いているかでボールの方向が決まってくるので、インステップを狙った方に向けてボールをコントロールします。
メリットとデメリット
メリットは短い到達時間でピンポイントでパスが出せる、低いボールが飛んでくるので味方が受けやすくコントロールもしやすい点です。
デメリットはフォームを身に着けるまでに時間がかかることや、力の調整が難しい点、
またミスキックをしたときにボールが飛ばずに転がってしまう可能性が高く相手にカットされ付け込まれた攻撃をされることもあるところです。
ドロップキック式
ドロップキック式とは、地面にボールがついてすぐにける方法をいいます。
けり方のコツ
●けり足のすぐ前にボールをトスします。近すぎても遠すぎても思うところにボールが飛びません。
●ける前の最後の1歩を大きく出すことで詰まってけることを防ぐことができ、けるときのタイミングがつかみやすくなります。
●ボールが地面に着いて上がったときにすぐにけります。遅すぎても早すぎても、いいコースでボールが飛んでいきません。
自分にとってちょうどいいタイミングを探しましょう。
メリットとデメリット
パントキックドロップキックのメリットは弾道が伸びるのことにより、より遠くにボールを飛ばせるので、
サッカーの試合でカウンターのときに走りながらボールをけるときにつかいやすいことです。
また、正面キックよりもライナー性のコースになるため味方がコントロールしやすいところもメリットです。
デメリットは、けるタイミングがつかみづらいためキックをミスする可能性が高くなることです。
正面キックよりも難しいのでサッカーの中級者向けのけり方だといえます。
また、遠くに飛ばすことができますが、飛びすぎてしまいラインからはみ出してしまうこともデメリットです。
しっかりと距離を調整できるように練習をすることが必要です。
パントキックのルール
パントキックはインプレーになります。
インプレーとはフィールド内にボールがあって、プレーが続行している状態のことです。
一般的な試合の流れでのルールが適用されるので、オフサイドになったりパントキックがそのまま相手のゴールに入れば得点になります。
また、パントキックは相手の守備を受けずにキックができます。
ゴールキーパーがボールをはなそうとしているときに妨害されると間接フリーキックが与えられます。
サッカーでハンドになるのは、ボールを持った状態でペナルティエリアの外でパントキックをした場合で、相手チームのフリーキックになります。
パントキックをエリアのすぐ外でするのは、ボールが手からはなれているのでサッカーのルールでは反則にはなりません。
パントキックのまとめ
パントキックは、攻撃のパターンを変化することができる、ゴールキーパーにとって重要な技術です。
パントキックのけり方には大きく3種類あり、それぞれ特徴があるので、1つ1つ習得して使い分けることでプレーの幅を広げたいですね。