イタリアのプロサッカーリーグ、セリエA。ディフェンスが世界で一番厳しいリーグとして有名で、これまで数多くの名ディフェンダーを輩出してきました。
過去には世界のスター選手が集い、日本でもセリエAの番組が放送されるなど人気を博していましたが、
凋落の一途を辿り、一時期人気実力共に低迷する時期が続きました。
しかし、近年セリエAの人気が全盛期に近くなるまで回復傾向にあります。
セリエAの特徴を見ていくと共に、セリエAが掴んだ栄光から没落、そして復活まで道のりを一緒に見ていきましょう。
セリエAの特徴
イタリアプロサッカーリーグ、セリエAは、イタリアプロサッカーのクラブ20チームが集い、ホームアンドアウェイの総当たり戦を行います。
下位3チームが2部であるセリエBに降格し、セリエBの上位3チームが翌シーズンセリエAで戦います。
リーグ優勝のことをスクデッドと呼び、2011年~2012年からユヴェントスFCが連覇を続けていました。
しかし、2020年~2021年シーズンでは、インテルナツィオナーレ・ミラノがユヴェントスFCの連覇を阻み、混戦模様だったセリエAは活気づいたシーズンを送りました。
セリエAと言えばカテナチオ
セリエAの大きな特徴と言えば、カテナチオでしょう。
カテナチオを日本語に直訳すると「鍵をかける」ですが、セリエAの多くのクラブは先制点を奪取した後、1点を守り切るために強固なディフェンスを仕掛けます。
巧みな戦術でゴールに鍵をかけて決して開けさせないという所から、カテナチオと呼ばれるようになりました。
また、セリエAでは、相手の長所を出させない守備重視の戦術で試合を進めていくため中盤の攻防が激しく、中々シュートまで持っていくことができません。
そして、ゴールキーパーも世界トップレベルの選手が多く、ゴールを破るにはワールドクラスの技術とパワーが必要になってきます。
そのため、玄人好みのサッカーと言われていますが、敵守備陣をこじ開けるテクニカルなプレイやスーパープレイが随所にみられ、
サッカーマニアにはたまらないリーグとなっています。
セリエAの栄光から転落、復活までの歩み
セリエAは、ユヴェントスやACミラン、インテルナツィオナーレ・ミラノのビッグクラブに加え、
ASローマ、SSラツィオ、ACFフィオレンティーナ、パルマを合わせたセブンシスターズと、地方都市のクラブ「プロヴィンチャ」で構成されていました。
プロヴィンチャで育った選手は、セブンシスターズのクラブで高額な移籍金を土産に移籍し、
セブンシスターズの余剰戦力がプロヴィンチャに移籍して戦力を均衡させる構造がセリエAの大きな特徴でもあります。
セブンシスターズとプロヴィンチャの関係は大きな相乗効果を生み、世界のサッカー選手が憧れる人気のリーグへと成長していきました。
世界トップの選手が憧れたリーグ
セリエAの全盛期には、元ブラジル代表のロナウド氏や元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ氏、ガブリエル・バティストゥータ氏、
元イタリア代表のアレッサンドロ・ネスタ氏やパオロ・カンナバーロ氏、元フランス代表のミシェル・プラティニ氏やジネディーヌ・ジダン氏など、
世界トップのプレイヤーが集う世界一の人気リーグとなっていました。
日本でもセリエAの番組が毎週放送され、海外サッカーの雑誌が多く出版された影響で、日本のサッカー選手がセリエAを目指して練習を重ねます。
そして、三浦知良氏や名波浩氏、小笠原満男氏に中田英寿氏、中村俊輔選手が人気絶頂期だったセリエAで選手としてプレイしました。
バブル崩壊
世界一の人気リーグとなったセリエAの凋落はあっという間にやってきます。
セリエA凋落の原因となるのが、世界が大不況に見舞われたバブル経済の崩壊です。
これまでセリエAと、UEFAチャンピオンズリーグで結果を出すために高額な移籍金と年俸でスター選手を保有してきたチームの財政が急激に悪化し、
ついには財政破綻してしまうチームが相次ぎます。
財政を立て直すべく、多くのスター選手がイングランドプレミアリーグやリーガ エスパニョーラなどに移籍し、
スター選手不在となったセリエAの人気は瞬く間に低迷します。
更に、スタジアムの老朽化と、コアサポーターであるウルトラスが暴力事件を度々起こすなど問題が頻発し、観客動員の最低記録を塗り替える事態にまで発展しました。
世界が震撼したカルチョ・スキャンダル
バブル経済の崩壊で人気が低迷したセリエAですが、またしても歴史的な事件を起こしてしまいます。それがカルチョ・スキャンダルです。
当時のイタリアサッカー界では、ドーピングを使用している疑惑が持ち上がり、イタリア警察が調査のために各チームに盗聴器を仕掛けます。
しかし、盗聴記録から出た言葉はドーピングではなく、八百長の指示と審判の買収というとんでもないものでした。
セリエAではかねてからビッグクラブの幹部が主導で審判を買収し、組織ぐるみで八百長を行っていることが日常となっていました
そして2006年、八百長の中心にいた人物、ユヴェントスFCの元ジェネラルマネージャー、ルチアーノ・モッジ氏や関係者が逮捕されサッカー界から永久追放されると、
ユヴェントスFCもセリエBに降格処分、関係していたクラブに重大なペナルティが課せられる事態となります。
カルチョ・スキャンダルに端を発して、様々な悪事が暴露されたセリエAは完全に信用を失ってしまい、セリエAはどん底の道を歩むことになります。
ユヴェントスFCの復活
カルチョ・スキャンダルによりセリエBへと降格したユヴェントスFCですが主力選手の多くが残留し、わずか1年でセリエAへと戻ってきます。
そして、スタジアムがクラブ所有だったために経営面でも安定し、アンドレア・ピルロ氏やパウロ・ディバラ選手、
クリスティアーノ・ロナウド選手など多くの有名選手を獲得し、セリエAとUEFAチャンピオンズリーグで好成績を残すようになりました。
ユヴェントスFCに負けまいと、ACミランを始めとした他のクラブも復活の兆しを見せ、
かつての人気を取り戻すべく、多くの有名選手がセリエAのピッチで戦っています。
セリエ aの有名クラブと特徴
セリエAでは、ビッグクラブとプロヴィンチャチームが混在するリーグというのが大きな特徴ですが、世界を代表する有名チームがいくつも存在します。
誰もが一度は聞いたことがある、セリエAの有名チームを一緒に見ていきましょう。
ACミラン
イタリアサッカー界が世界に誇るチームと言えばACミランでしょう。
多くの有名選手がACミランに憧れ、本田圭佑選手が在籍していたことでも有名です。
UEFAチャンピオンズリーグを7回優勝した名門中の名門で、世界中にファンがいることも大きな特徴です。
同じミラノに本拠地を置くインテルナツィオナーレ・ミラノとは永遠のライバルと言われており、
ACミランとインテルナツィオナーレ・ミラノのミラノダービーは、ミラノの街と世界中が熱狂と興奮に色めき立ちます。
インテルナツィオナーレ・ミラノ
セリエAでACミランと共に人気を二分するのがインテルナツィオナーレ・ミラノ、通称インテルです。
ACミランに在籍していたクラブ幹部たちが、外国人選手の獲得問題で対立し、独立したチームであることがインテル発足の歴史でもあります。
選手の国籍を問わずにチームに歓迎するのが大きな特徴で、元カメルーン代表のサミュエル・エトー氏や、元アルゼンチン代表のエステバン・カンビアッソ氏、
そして日本代表の長友佑都選手など多くの外国人選手がインテルでプレイしました。
インテルの特徴として話題になるのが、インテル元会長マッシモ・モラッティ氏でしょう。
多額の資金を投入して世界のスター選手を獲得しますが、戦術やバランスを度外視した補強だったため結果を出せず、世界一の無駄遣い男と揶揄されます。
更に、高額な移籍金で獲得した選手をあっさりライバルチームに移籍させたり、辛抱強く育てた選手が花開いた瞬間に移籍を容認したりと、
ハチャメチャなチーム運営をしてきました。
しかし、インテルに対する愛は本物で、インテルを応援し喜怒哀楽を爆発させる姿に多くのサッカーファンが魅了され、インテルファンになる人が増えていきました。
同じミラノに本拠地を置くACミランとはスタジアムを共同で保有しており、ACミランのホーム時にはスタディオ・サン・シーロ、
インテルホーム時にはジュゼッペ・メアッツァと呼ばれています。
まとめ
栄光から凋落を味わい、名門復活を目指して歩み続けるセリエA。各チームに際立った個性や特徴があり、ゴールを破るスーパープレーは迫力満点です。
ユヴェントスFC1強時代に終止符が打たれ、群雄割拠のリーグへと変貌するであろうセリエA。
今シーズンはどんなドラマが生まれるのか、毎試合欠かさずチェックしましょう。