スヌーカーとは、イギリスや旧イギリス領の国では盛んに行われている、ポケットビリヤードの競技です。
対戦形式で進めながら点数を競う競技で、連続してポケットする技術と、相手に得点させないための手玉のコントロールなど、
戦略性の高さが魅力です。
日本ではあまり馴染みのない競技ですが、世界的に見ると競技人口はスヌーカーの方が多いくらいです。
イギリスではテレビ中継も当たり前なほど浸透しています。
日本ではビリヤードといえば9ボールや8ボールを想像すると思いますが、スヌーカーはそれとは全くルールが違います。
駆け引きが重要で、相手に得点されないように、手玉を入れづらい位置に配置するセーフティというショットも多用されます。
スヌーカーの歴史
スヌーカーは、イギリス領であったインドで誕生したと言われています。
それがイギリスに逆輸入され、今日に至っています。
19世紀後半のイギリス領インドでは、駐留将校達の間でビリヤードが楽しまれていました。
その中で、色々なゲームが開発されていましたが、赤玉をポケットしてから黒玉を狙うというゲームが考案されました。
それがスヌーカーの原型といわれています。
1800年代後半、イギリス軍人のチェンバレン卿が赤玉15個、色玉4個で楽しむゲームを考案し、
これがスヌーカーの直接の期限であるというのが有力です。
その後、チェンバレン卿からゲームを紹介されたジョン・ロバーツが本国に持ち帰り広まりました。
ジョン・ロバーツは元々イギリスのビリヤードチャンピオンでした。
競技人口はどれくらい?プロは?
日本ではまだまだ知名度の低いスヌーカーですが、世界的にはかなりのプレイヤー数です。
プロ選手も存在し、世界選手権やワールドツアーも開かれています。
ワールドツアーはベルギー、中国、オーストラリア、カナダなどでも開催されており、世界的な競技であるといえます。
イギリスではスヌーカーはテレビ中継されるのが当たり前で、トッププロは年収数千万にも。
例えば世界選手権の優勝賞金は、42万5000ポンドにもなります。これは日本円で6300万円、かなりの高額です。
ワールドツアーの入賞だけでも数百万になり、他のスポーツにひけを取らない競技です。
トッププロになると、賞金以外にもスポンサー契約料やTV出演、CM等もあるので莫大な稼ぎがあるのは間違いありません。
ビリヤードとの違い
スヌーカーとポケットビリヤードは一見すると同じような競技ですが、使用する物の違いがあります。
競技テーブルの違い、使用する球の違い、キューやメカニカルブリッジの違いなどなど多数。
ただ、手玉を撞いて的玉を落としていくという本質は変わらないので、どちらの競技でもプロになっている選手がいます。
競技テーブルの違い
スヌーカーで使用するテーブルですが、ビリヤードと同じくコーナーポケット4個、中央ポケット2個です。
だだし大きさはビリヤードテーブルの2倍程度で、長辺11フィート8.5インチ、約3.55メートルです。
ポケットがビリヤードよりも小さく作られており、ショットの精度が重要になります。
手玉、的玉のサイズも違いがあり、ビリヤードは直径約6cm、スヌーカーは直径約5cmほどです。
小さな的玉を遠くのポケットを狙うのは困難で、プロでもミスショットがあります。
プロの試合では、できるだけ違いポケットを狙い、連続して点数を取るように手玉がコントロールされています。
スヌーカーは手玉のコントロールが非常に重要で、できるだけ近くのポケットに入れて、
相手に手番を譲らないようにするのが勝利に必要な要素です。
使用する道具の違い
スヌーカーで使われるキューは、他のビリヤード競技よりも細身に作られています。
素材の違いもあり、キャロムやポケットビリヤード用のキューはメープルで作られることが多いですが、
スヌーカーではアッシュが多いです。
アッシュ材は野球のバットや古くはテニスラケットなども作られ、硬さに定評のある素材です。
形についてはぱっと見の違いはそれほどありません。
スヌーカーのキューで理想とされているのが、継ぎ目のない一本物です。
日本のお店に置いてあるキューは真ん中にジョイントがありますが、これは通常タイプのキューです。
スヌーカーは台が大きいのでしっかりとした構えができないことが多くあります。
そのため、ビリヤード以上にメカニカルブリッジの種類があり、プロはそれを状況に応じて使いこなさなければなりません。
スヌーカーのルールとは
スヌーカーは、人との対戦ですが得点を競う競技です。
9ボールは全ての的玉を落とさなくても9ボールをポケットすれば勝ちになりますが、スヌーカーは全ての的玉をポケットしていきます。
スヌーカーは手玉の他に21個の的玉を使用します。
赤色・1点、黄色・2点、緑色・3点、茶色・4点、青・5点、ピンク色・6点、黒・7点の配点です。
赤は15個ありますが、それ以外は全て1個のみです。
赤玉以外の的玉を狙う場合、どの色を狙うかコールする必要があります。
外した場合は相手の手番になります。
ゲームの進め方
スヌーカーは赤玉からポケットします。
赤玉がテーブル上に残っている限り、赤玉をポケットした後にそれ以外のカラーを狙うことができます。
赤玉→カラー、赤玉、カラー、という順序です。
赤玉が残っているうちは、ポケットされたカラーの的玉は元の位置に戻します。
そのため、赤玉→ピンク、赤玉→ピンクという同じような配置のショットが延々と続くことも結構あります。
テーブル上の赤玉が全て無くなった後は、点数が低いカラーの的玉を順番にポケットしていきます。
点数が届かないことが分かった時点で、コンシードといって負けを宣言することが可能です。
ファールについて
ファールについてはルールが複雑で、かなり難しいものになっています。
以下に、代表的なものだけいくつか記載します。
- 狙いの的玉に手玉が当たらない場合:相手に4~7点が加算
- スクラッチの場合は相手に手番が移り、決められたソーンからのフリーボールで再開
- 球に触れる、二度撞いてしまう、撞く際にどちらの足も地面から離れている、などはファール
また、スヌーカーには特殊なファールのルールがあります。
- ファール・アンド・ミス
スヌーカーは、狙う球に当てるための最善の努力をしなければならない、という考え方があります。審判が、プレーヤーがそれを怠ったと判断した場合、ファール・アンド・ミスを宣告することができます。
ファール・アンド・ミスには、ファウル前の状態に球を戻してやり直し(リプレイス)、自分の手番にする、相手にもう一度撞かせる、という選択肢があります。
日本でのスヌーカー人口は? できる場所はあるの?
世界的に人気のスヌーカーですが、日本での人気、知名度は低いものです。
台が大きく、高価で場所が限られるビリヤード場には置くことすら難しいのです。
そういった事情で、日本ではスヌーカーが普及していません。
日本でのスヌーカー競技人口
日本のスヌーカー人口は、残念ながらかなり少ないのが現状です。
スヌーカーのメインツアー・プロは世界でわずか128名で、日本人はそこに入っていません。
国内には日本スヌーカー連盟があり、国内公式戦が行われています。
ツアープロになるのは世界的に見ても狭き門、現状ではチャレンジしている人がいるという段階です。
まとめ
日本ではまだまだ知名度が低く、プレーできる場所も限られるスヌーカーですが、競技としての魅力は非常に高いです。
相手に対しては、セーフティを多用し楽にプレーさせない、自分自身は手玉をコントロールしポケットし続ける。
戦略性の高さ、的玉を入れる技術、手玉のコントロール、様々な要素が必要になるのがスヌーカーです。
ビリヤード初心者がいきなり挑戦するのは難しい競技ですが、技術の向上には最適な競技ともいえます。