現代サッカーの戦術において、「視野」は最も重要となるスキルです。
サッカーの戦術を振り返ってみると、視野のスキルを求められるのは、ゴールキーパーやボランチ、トップ下などのセンターラインプレイヤーに限定されていました。
しかし、戦術が多様化した昨今、サイドプレイヤーにも視野の広さが求められ、様々なポジションでチャレンジすることが可能となっています。
有名サッカー漫画「アオアシ」の主人公青井葦人も、サイドバックにコンバートした後視野の重要性に気付き、厳しいトレーニングを続けています。
視野は持って生まれた天性のもので、トレーニングしたからといって視野は向上しないと言われていたのは、もう昔の話です。
現代のサッカーにおける視野のトレーニングを続ければ、きっと視野が広がるスキルが身につきます。
サッカーの視野を広げるトレーニングとはどんな内容なのか、有名選手の練習方法とともに詳しく解説していきます。
サッカーの視野
サッカーは広大なピッチで11対11の試合を前後半90分で戦います。
ピッチが広いのと、終始味方と相手が交差するため、誰がどのポジションに位置してどういう動きをするのか、全ポジションのプレイヤーは逐一把握する必要があります。
敵味方全員の位置を把握するのに必要不可欠なスキルが視野であり、更に誰がどこに動くのかという未来予測も必須のスキルです。
未来を予測するのはまず視野を広げるトレーニングを続けることが重要になります。
視野を広げるメリット
サッカーは、幼少時から年代が上がるにつれて視野を広げることを要求されてきます。
視野を広げるということは、両方の目が持っている視野を効果的に使うことによって普段見えなかった選手が見えたり、
パスコースの選択肢が増えるのがメリットです。
人間の眼は、直接物を見る直接視野と、周りの者や人など全体をとらえる間接視野があります。
右目と左目で直接視野と間接視野が異なってきますが、両目とも効果的に使えるようになると、
ボールを持っている時だけではなく、オフザボール時でもボールをもらいやすいポジションに素早く移動することが可能となり、メリットが格段に増えていきます。
俯瞰で見よう
サッカーのピッチ全体が上空から見下ろしているように見える状態のことを俯瞰(ふかん)と言います。
プロサッカーの試合を観戦していると、ピッチの端から端まで正確にパスを通す選手がいますが、
俯瞰で見るスキルを持っているためにロングパスを正確に出すことが可能になるのです。
有名サッカー漫画「GIANT KILLING」の主人公達海猛が選手時代、「調子が良い日は、空からピッチが見えている気分になる」と言っていましたが、
この状態が俯瞰で見えていることになります。
俯瞰でピッチが見えるようになると、誰がどこにいてどう動くのか瞬時に判断できますので、サッカーがすごく面白く楽しくなります。
どうやったら俯瞰で見ることができるのか、それはもちろん視野を広げるトレーニングを続けることです。
最初は両端がぼんやりしか見えなかったものが、やがてはっきりと見えるようになり、空からピッチが見えるような優越感を味わうことができます。
サッカーの視野を広げるトレーニング
人間の眼は、物を中心でとらえる中心視野と、周り全体を捉える間接視野があります。そして、動いている物を捉える動体視力もサッカーでは必須のスキルになります。
中心視野と間接視野、そして動体視力を鍛えることが視野を広げるトレーニングで最も大事であり、身近な練習方法です。
サッカーの視野を広げるトレーニング、中心視野と間接視野、動体視力を鍛えるトレーニング方法について解説していきます。
中心視野を鍛えよう
まずは、味方や相手を素早くとらえる中心視野のトレーニング方法について解説します。
パスサッカーで有名な全盛期のFCバルセロナの選手は、試合中よく首を振っていました。
味方がどの位置にいてどんな動きをするのかを把握するためですが、1試合辺りの首を振る回数は、現役Jリーガーの倍以上と言われています。
素早く首を振って瞬時に目標物を捉える中心視野が発達している証拠です。
中心視野の鍛え方ですが、センターラインの外側に立って、相手ゴールと逆サイド、味方ゴールのコーナーを見ていきましょう。
見る時のポイントは、姿勢を真っすぐにして顔を上げる、ルックアップの状態をキープしてください。
続いて、真ん中のセンターラインに進み、今度は左右のサイドライン、敵ゴール、味方ゴールを見ていきます。
そして、逆サイド側に進み、最初に見た相手ゴールとセンターライン、味方コーナーを見ましょう。ミドルサーブ、バイタルエリアも同様に見ていきます。
見る場所をサイドからセンターに移ることによってどこが見えてどう見えるのか全く違うことが分かります。
一連の流れを素早く見るトレーニングを続けることによって、始めはぼやけて見えた直接視野もだんだんはっきりと見えるようになってきます。
間接視野や動体視力も大事
間接視野は、人間が持って生まれた天性のものがあり、人によって間接視野が狭かったり、広かったりする場合があります。
間接視野を鍛えるには、まず、味方に見えない位置まで移動してもらい、合図を出してもらったら素早く相手方向に体を向ける動作を繰り返します。
合図から振り向くまで素早く見ることができたら、今度はボールを使ってパスを出してもらい、振り向いたら素早くトラップしましょう。
必ず姿勢は真っすぐ、ルックアップの状態を維持するのが視野を広げるトレーニングを効果的にする一番のコツです。
一連の動作を練習することにより、間接視野だけでなく、直接視野と動体視力のスキルもアップしていきます。
有名選手の視野を広げるトレーニング
サッカーの視野を広げるトレーニングは、有名選手のトレーニング方法を取り入れてみるというのも効果的な練習方法です。
視野が広いと言われている選手には共通しているスキルがあり、共通しているトレーニングを実践しています。
プロサッカーで視野が広い有名選手は、普段どんな視野を広げるトレーニングをしているのか、詳しく解説していきます。
ボールコントロールを極めよう
プロサッカーの有名選手で、視野を広げるために行っている共通のトレーニング方法はずばりボールコントロールです。
プロサッカー選手の試合で、トラップやパス、ドリブルをしている動作を見てみましょう。
試合中の流れの中でトラップやパス、ドリブルをしている時、ボールを一瞬だけしか見ていません。
ボールをじっと見てしまうと、目がボール方向に向いてしまうため、充分な視野が確保できなくなってしまうからです。
まずは、基本であるボールを止める、ボールを蹴るという動作をしっかりとマスターしましょう。
ボールを止める、蹴る時に姿勢は正しく、ルックアップしている状態を必ずキープしてください。
ボールコントロール時には、パスする近くの相手だけではなく、遠くを見ることも意識しましょう。
最初はぼやけて見えた景色も、次第にはっきり見えるようになってきます。視野を広げるスキルが向上した瞬間です。
ボールの止め方を工夫しよう
プロサッカーの試合では、ボールをもらう時、必ず自分がもらいやすい位置に姿勢をおいてボールをもらっています。
真横からのパスでも、身体の向きを変えたり、1歩2歩斜めに動いてパスを受けています。
プロサッカー選手のボールの受け方は、視野を広げるトレーニングに直結していて、見づらい場所からボールを受ける選手はまずいません。
必ず自分がボールももらう時、見やすい角度に位置を変えたり移動してボールを受けるようにしましょう。
ボールを受けたら素早く次のプレーに移れるように一旦下がったりする工夫も大切です。
見る努力を忘れずに
サッカーは90分間動き続けるスポーツですので、周りを見たり遠くを見る余裕はありません。
しかし、ボールを持っていない時、首を振って周りを見たり、誰がどこにいるという状況判断を常に行いましょう。
味方選手が見えなかったのであれば見えるようにするにはどうすれば良いか、
少し下がってみる、見える位置まで移動するなど繰り返して見る努力を常に意識することが大切です。
まとめ
プロサッカーの試合では、何でここに正確なパスが通せるのか、どこに目がついているのかという選手が度々出てきます。
こういった選手は視野を広げるトレーニングを毎日欠かさず行っていて、ボールコントロールの練習も人の倍は実践してきた結果がプレイに結び付いています。
視野を広げるトレーニングは地味な練習の繰り返しです。地味な練習一つ一つが試合の結果に結びつき、サッカーがより好きになってきます。
サッカーがもう一段階上手になり、面白くなる視野を広げるトレーニング、早速実践していきましょう。