今回は大相撲の付き人について詳しくご紹介します。
付き人はいったいどのような役割を果たしていて、横綱や大関一人につき何人の付き人がつくのかを調査しました!
大相撲の付き人とは?
大相撲の十両以上の力士には身の回りの世話をする役割で付き人(付け人)がつきます。
付き人とは相撲業界や伝統芸能業界、芸能界で耳にする言葉ですね。
芸能人で言うと、所ジョージがダウンタウンの元付き人であったり、有吉弘行がかつてオール巨人の付き人をしていたという話は有名ですよね。
付き人というと、使用人や奴隷といったように否定的にとらえられてしまうこともしばしばありますが、
相撲業界での付き人はとても有意義で学びの場という意味合いもあります。
付き人は場所ごとに親方の采配で決まり、力士の身の回りの世話をします。
付き人力士は芸能人のマネージャーのように給料をもらうわけではないので、言ってしまえばボランティアということになりますね。
しかしそれ以上に関取から学ぶことが多く、成長できる場となっています。
関取に昇進すると一人前の力士になったとみなされ、給料が出たり付き人がついたり、部屋の個室を使えるようになります。
さらに大銀杏の結髪や化粧廻し、羽織や袴の着用も許されるようになります。
関取になるまでの力士は力士養成員と呼ばれ、修行中の身ということで大部屋で生活をする上、なんと給料も出ません。
この力士養成員が付き人として関取につくことが多いです。
未熟なうちに関取になってしまった場合に兄弟子という年上の付き人を付け学ばせるという例外はあるのだとか。
自分より年上の力士に身の回りの世話をしてもらうのは少し気が引けますが。
基本的には、同じ部屋の後輩力士が先輩力士の付き人として相撲道を学びつつ身の回りの世話をする、というのが付き人の役割となっています。
大相撲の付き人の仕事
付き人の仕事は炊事洗濯から雑用、稽古相手までと多岐にわたります。
朝5時に起きて自分の稽古、食事の準備、掃除、洗濯、をこなし、さらに関取のマッサージや稽古相手、と目まぐるしく活動しています。
付き人力士も自分の稽古があり、そのうえ先輩力士の身の回りの世話をするのですから1日24時間あっても足りませんね。
そんな早朝から深夜まで大忙しの付き人の仕事をご紹介します。
炊事洗濯、掃除
まずは相撲部屋の整理整頓、炊事洗濯などの家事・雑務を行います。
大部屋は体の大きな力士たちが大勢生活をするため、掃除や洗濯はとても大変です。
力士は体を大きくするために一度に多くの栄養を取らないといけないので、食事の支度も安易なものではありません。
付き人は、朝の稽古の後にちゃんこ番として昼ご飯(ちゃんこ)を作ります。
食事の順番はまず先輩力士である関取がとってから、その後で付き人たちが食事をするため昼食が昼2時頃になることもあるのだそう。
部屋の掃除や洗濯、食事の準備のほかにさらに、廻しの手入れも任されているため付き人は大忙しですね。
ちなみに廻しは選択することができません。
高級な素材でできているため、洗わずに陰干しをするのが一般的なのだそう。
関取の体のケア
付き人はマッサージやもみほぐしがプロレベルです。
地方巡業や場所を繰り返すうちにマッサージの回数を重ね、さらに現地の治療院の先生と出会う度に怪我や治療法についての知識が深まるのだとか。
マッサージが上手でないと関取に怒られることもあるようで、自然と知識も技術もレベルアップしていくのですね。
マッサージだけでなく、「風呂入れ」という仕事もあります。
体が大きすぎて届かないため、関取の体を洗ってあげるのです。
大相撲の付き人は、アスリートのトレーナーの役割も果たしているため、関取には欠かせない存在といっても過言ではありません。
関取のコンディションは付き人のケアにかかっているので、付き人は責任重大な仕事と言えます。
背中拭き
本場所で取組が近くなると、付き人は関取の背中を濡れたタオルで強く拭いたり叩いたりします。
気合い入れの儀式のようなもので、支度部屋から土俵までの通路である花道にてこの儀式を行います。
力士によってルーティンがあり、そのルーティンをしっかりとこなす手伝いをするのも付き人の大事な仕事なんですね。
まだルーティンがない力士と一緒にルーティンを作っていく付き人も多いそうです。
荷物運び
<NHK福祉大相撲>支度部屋から明け荷を運ぶ、玉大輝と玉金剛。#sumo pic.twitter.com/7SvFLlPGmB
— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) February 11, 2015
巡業先での荷物運びは付き人の大事な仕事です。
相撲業界では一般的に旅行などで使うようなスーツケースではなく、明け荷と呼ばれる大相撲特有の入れ物に入れて荷物を運びます。
赤と緑と黒の配色で力士の名前の入った箱を担いでいる姿を見たことはありませんか?
明け荷は化粧廻し、締め込み(廻し)、浴衣、座布団、小物類、テーピングなどを入れるカバンです。
この明け荷の個数は番付によって異なり、横綱の場合3個、大関以下の場合1個と決まっています。
ですから、荷物を持つためにも横綱の付き人は他より多くなっています。
ボディーガード
付き人は時に警護役に回ることもあります。
人気のある力士の場合、観客や記者に囲まれてしまうこともしばしば。
付き人がボディーガードとなって力士を守ります。
支度部屋から土俵に上がるまでの道を花道と言いますが、その花道で人気力士を一生懸命守る付き人の姿はテレビに映ることもありますね。
関取のボディケアをしてけがから守るだけでなく、記者や観客から守るもの付き人の大事な仕事なのです。
稽古相手
付き人は関取の身の回りの世話を主に行いますが、稽古相手にもなります。
これは関取の練習にもなりますが、付き人の練習にもなるためとても貴重な時間と言えます。
若い力士にとっては関取衆というのは憧れで目標とする存在です。
そのため、付き人として近くで稽古をしたり戦略を一緒に考えたり、
ジムでハイレベルなトレーニングを一緒に受けたり、相撲への姿勢、向き合い方を学ぶなど、得ることがとても多いのだそう。
立派な関取につくことができれば、相撲道を学び、付き人への接し方を観察し、
関取になるためにどのような行動をするといいのかを体感することができます。
付き人と関取との関係は相性なども関係してきますが、どの関取についても必ず学ぶことがあります。
付き人力士として働くことは決して悪いことではないのですね。
大関につく付き人の人数
付き人の人数は格付けによって異なります。
・十両力士:2、3名
・幕内力士:3、4名
・大関 :3~5名
・横綱 :8~10名
大関までの関取につく付き人が5名以下なのに対して、横綱につく付き人は10名前後と大きく差がありますね。
横綱につく付き人が多くなるのには理由があります。
大関以下の場合荷物を入れる明け荷が1つなのに対して、横綱は明け荷を3つ用意しなければならず、
さらに綱締めにも更なる人手が必要になるため、横綱につく付き人がどうしても多くなるのです。
さらに小さな部屋から横綱になった場合、付き人の人数が足りず同じ一門のほかの部屋から付き人を借りてくることもあるのだとか。
元横綱白鵬は宮城野部屋に所属していましたが、付き人の人数が足りず同じ伊勢ヶ濱一門の春日山部屋から付き人を借りていましたね。
ちなみに付き人は力士だけにつくのではなく、親方や行事につく付き人もいるのだそうです!
相撲道はなんとも奥が深いですね。
まとめ
今回は大相撲の裏側、付き人についてご紹介しました。
横綱や大関につく付き人の人数や、付き人の仕事内容について解説しました。
付き人の仕事はとてもハードで、朝早くから夜遅くまで数多くの仕事をこなしていましたね。
付き人として成長できるかどうかはどの力士につくか、どのような関係を築けるかがとても大事になるのですね。