野球の基本中の基本である練習の一つとして、素振りが挙げられます。
バットと広い安全なスペースがあれば、1人でも簡単に練習できます。
そんな素振りですが、どのくらいの回数が適正であるのかがわからない人、
素振りをする回数が多ければ多いほど試合や練習でも打てるようになると考える人もいるはず。
今回はそんな素振りの適正な回数について、紹介します。
素振りの回数は人それぞれ
結論からいうと素振りの適正回数はありません。
素振りは回数が多ければ多いほどいいと思って、500回や1000回スイングしている人もいる一方で、
素振りは100回程度スイングすれば十分と考えている人もいます。
また、チームの練習メニューの一つとして素振りを入れているチーム、選手の自主性を求め、
チームの練習メニューに入れていないチームなどそのチームによってさまざまです。
では素振りをする回数が多ければ多いほど試合で打てるのか。
実はそうではありません。
プロ野球選手でも素振りの回数はバラバラ
プロ野球選手でもその選手ごとで素振りをする回数が異なります。
ひと昔前のプロ野球選手は素振りを行う回数を多くすることでバッティング技術が上がるという言い伝えから、
1日500回は当たり前で、1000回を超える素振りをしているプロ野球選手もまれではありませんでした。
2021年現在、通算本塁打数868本の世界記録保持者である王貞治さんは1日に最低でも500回は素振りをしていたというエピソードが有名です。
現代のプロ野球選手は選手によって個人差がありますが、2021年現在、
メジャーリーグでホームラン王争いを繰り広げる大谷翔平選手が「自分はそんなに素振りをしてこなかった」とインタビューにて答えています。
現代のプロ野球では選手にある程度自主性を求め、練習方法から食事まで自分に合った方法を取り組んでいて、素振りもその一部です。
自分が納得するまで素振りし続ける選手、
一日の素振り回数を決めている選手などプロ野球選手でも選手によって異なった素振りの仕方を試されています。
素振りの回数が多いことによるメリット・デメリット
素振りの回数を多くすることで受けるメリット・デメリットが存在します。
ここからはその素振りの回数を増やしていくことによるメリット・デメリットについて紹介します。
メリット
- スイングスピードが早くなる
- バッティングに必要な筋力を鍛えられる
まずは素振りの回数が多いことでスイングスピードが早くなります。
スイングスピードが早くなると、ボールとバットのインパクト時に力が伝わりやすくなり、
強い打球を打つことができ、飛距離も伸び、遠くへ飛ばすことが可能です。
また、スイングスピードが早いことでボールを自分の体近くまで引きつけてスイングすることができるため、
長い時間ボールを見極めることができます。
それにより、変化球や際どいコースのボールが来たとしてもカットで逃げることが簡単になり、
多少振り遅れていてもバットにボールを当てることができるため、相手ピッチャーに球数を多く投げさせることができ、
相手チームとって厄介な存在となるでしょう。
次にバッティングに必要な筋力を鍛えられます。
バッティングは速球や変化球などあらゆるボールを打ち返す必要があります。
そんなときに筋力がなければ飛距離が出ず、凡退してしまうことが多くなってしまいます。
筋力が必要であればウェイトトレーニングで鍛えた方が筋力は上がりやすいですが、
バッティングに必要な筋力はウエイトトレーニングをするより素振りをした方が身につき、効率的です。
素振りを繰り返すことで、腕、手首、腰、下半身などの筋力が鍛えられ、どんなボールがきたとしても対応でき、強い打球を打つことができます。
デメリット
- フォームが固まっていないと悪い癖がつく
- 適当にスイングしていても時間の無駄
まずはフォームが固まっていないと悪い癖が付いてしまいます。
打撃フォームは固まっていないとボールがバットに当たるポイントや距離などがバラバラになってしまい、いい打球が飛ばなくなります。
フォームが固まっていない時に素振りを多くしてしまうと間違ったバットの出方になってしまうことや、
間違ったスイング軌道になってしまうことなど、悪い癖が付いてしまう可能性があります。
また、体が疲れてくると、スイングもだんだん適当かつ体を楽にしようとしてデタラメなスイングになってしまいます。
悪い癖やスイングが身についてしまうと戻すことに時間が掛かって、スランプにおちいり、いい成績が残せなくなるでしょう。
次に適当にスイングしていても時間の無駄です。
何も考えずただ素振りを多くすることで打てるようになるといった考えで素振りをしていては時間の無駄で、
体力を消耗するだけになってしまいます。
適当にスイングしていても、いざ試合や練習などで素振りの効果を発揮することができないでしょう。
しっかりと相手ピッチャー、試合の状況、ボールのコースなど、イメージしながら素振りをすることで体は適応していき、
試合でもいい成績が残すことができます。
素振りのポイント
素振りは簡単な練習に見えがちですが、ただむやみやたらにバットを振っているだけではありません。
実は素振りという練習は奥が深く、1スイングごとに自分がどういった点を意識して取り組んでいくかで大きく変わってきます。
ここからは素振りをするときにどういったポイントを意識しながらスイングすることで効率よく効果的な練習をすることができるかを紹介します。
1回1回頭でイメージしながらスイングする
野球にはストライクゾーンのコースで体に近いインコース、体から遠いアウトコースがあります。
またそのインコースの高めのインハイ、低めのインロー、アウトコースの高めのアウトハイ、低めのアウトローと大きく4分割されています。
素振りではコースごとに何回素振りをする、例えばインハイを20回スイングしたら、
次はインローを20回スイングするといった意識をもってスイングすることで効率よく素振りをすることができます。
また、コースだけでなく、試合などで対戦して苦手だったピッチャーや変則的な投げ方のピッチャーがいたとします。
そのピッチャーの投球フォーム、タイミングのとり方や投球までの間隔などを頭でイメージしながらスイングすることで
実際に試合などでもイメージ通りにスイングすることができるでしょう。
そして試合状況をイメージしながら素振りも忘れずにしましょう。
ランナーの位置などによって進塁打を意識してライト方向へ打つイメージや、2ストライクに追い込まれたときに長打狙いから単打狙いに切り替え、
バットを短く持つなどあらゆる試合状況のイメージをしながら素振りしてみてください。
試合で同じ状況になったときに冷静に判断して素振りで行ってきたイメージをもちながらスイングすることができるようになります。
自分にあったスイングを固める
バッティングはスイングするだけといっても、構え、バットのグリップエンドの高さ、
タイミングのとり方、足の上げ方などスイングするだけではありますが、
たくさんの要素があり、人によってそのスイングが自分に合っているか、合っていないかが異なります。
プロ野球選手でも独特な構え方の選手、タイミングのとり方の選手や、動きが少ない打撃フォームの選手もいます。
これは何回も試行錯誤してきた上で自分にあったスイングを固め、モノにしたからこそ試合で実践していることです。
まずは素振りで自分はどんな構えがいいのか、どんな足の上げ方がいいのかなど試行錯誤してスイングしてみましょう。
好きなプロ野球選手の打撃フォームをマネしてみてもいいかもしれません。
そしてこの打撃フォームがスイングしやすい、1番しっくりくると感じたスイングを見つけて、
同じスイングで素振りを行うとより充実した練習を行うことができます。
まとめ
ここまで野球の素振りについて紹介してきました。
素振りの回数については正解はないため、多ければ多いほどいいとは限りません。
自分が納得するまで行うことで試合でも力を発揮することができるでしょう。