ゲームを題材にした映画は、数多くあります。
ゲームの世界観を共有した「バイオハザード」シリーズや「トゥームレイダー」シリーズ。
ゲームをツールの1つとして、親子の交流を描いた「劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」。
ゲームをメタ化して、色々なキャラクターが総出演したハリウッド映画「レディ・プレイヤー1」。
今回はゲームの中でも、FPSというe-スポーツを題材に「ハードコア」と言う映画をご紹介します。
FPSとはどんな e-スポーツ か?
FPSとは、First Person Shootingの略称(和製英語)です。
操作する人の視点(一人称)で場面が表示される3次元シューテングの総称です。
英語圏では、First Person Shooter(ファーストパーソン・シューター)と表現します。
諸説ありますが、1990年代初めに「ドゥーム(DOOM)」が世界的にヒットした事で定着したと言われています。
最近では「コール オブ デューティ(Call of Duty)」シリーズや「バトルフィールド(Battlefield)」シリーズなどが、
知名度も高く人気があります。
世界的に人気があるジャンルで、オンラインでは常に対戦が行われています。
FPSというジャンルの性質上、リアリティを追求することも目的の1つとなっています。
そのため、先端のCG技術のテストケースになっているという側面もあります。
「ハードコア」とは?
ロシアとアメリカが共同制作したSFアクション映画で、日本では2017年に公開されました。
初の全編一人称視点で作られた映画です。
2016年に全米約3000館で公開された際には、オープニング興行収入が約500万ドルで、初登場5位となっています。
ハードコアは、どんなストーリーなのか?
Amazon より引用
主人公ヘンリーは、近代的な手術台の上で目を覚ます。
極度の重症を負い、記憶を失っている彼の目の前には、美しい科学者エステルがいた。
妻だと名乗る彼女は、ヘンリーの失った手足をサイボーグ化して蘇生させたと言う。
エステルが、彼の失った声帯の修復を行おうとした時、エイカンと名乗るテレキネシスを操る男とその部下たちに、2人は襲撃される。
辛くも2人が逃げ切れたと思われた時、先回りしていたエイカンの部下に、エステルは拉致され、ヘンリーは追われる身となる。
声が出せず訳もわからない状況で、ヘンリーはエイカンに復讐を誓うジミーという男に窮地を救われる。
エイカンの目的が、サイボーグ手術で死人を兵士として量産し、世界を牛耳ろうとする事だと知るヘンリー。
声と生身の肉体を失った代わりに超人的な身体能力を得たヘンリーは、ジミーと共に、エステルを救うために、
エイカン一味に戦いを挑むことを決意する。
ハードコアは、どんな所がFPSなのか?
全編一人称視点という点が、まさしくFPSです。
一つのカメラ(主観視点)で、全編を撮影された映画はこれまでにも数多くありました。
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「REC/レック」シリーズなどの作品が話題になりました。
それらの映画と大きく異なるのは、これまでの映画は状況や世界で起こっていることを映し出しているのに対して、
FPS映画と言えるハードコアは、主人公ヘンリーの視点に固体されていると言う点です。
つまり、画面に写っているものは、ヘンリーが見ているものだけという事です。
ハードコアの特徴は?
ヘンリーの視点のみで映画が展開するので、主演俳優がいません。
その為、エンドロールでもクレジットされていません。
実際は監督やその他のスタッフが、必要に応じて演じています。
撮影は、演者の頭部に GoPro Hero 3 という市販されているウェアラブルカメラを固定して行われました。
アクションシーンは、パルクールと呼ばれるパフォーマンスに重きを置いているので、CGでワイヤーを消す必要がありません。
サイドカーに乗って、並走車を銃撃するカーチェイスのシーン。
サイボーグ能力を持ってしても、手強いテレキネシスを操るエイカンとのバトルシーン。
どれもFPSならではの迫力になっています。
ヘンリーは、声帯の修復が行われないまま、襲撃されてしまいました。
つまり、喋ることができません(FPSでの無口な主人公の類型です)。
これが、没入感を生み出すことに、大きく関わっています。
色々な人物が、次々とヘンリーに話しかけてきますが、彼は声で答えることができません。
身振り手振りで答えるわけですが、それらが画面から伝わってきます。
まさしくFPSのように、周囲の人たちからヒントや助けを得て、目的のために進んでいきます。
さらに特徴的なのは、それぞれのアクションシーンで、100%をやり切らない事です。
FPSでもそうですが、あえて腹八分目にして、達成感は映画の最後に持ってきています。
この腹八分目は、映画の全てを楽しもうという貪欲な人間の脳と目を休ませる意味合いもあります。
エステルはきれいなアメリカン・アクセントの英語を話します。
彼女を誘拐したエイカン一味はロシア語を話します。
ヘンリーとともに戦ってくれるジミーはイングリッシュ・アクセントの英語を話します。
このあたりの設定は、よくあるFPSのシングルキャンペーンへのオマージュといえます。
吹き替え派の方も、1度は字幕で観てみましょう。
ただし注意点もあります。
R15+ のレイティングがされているように、昼日中、陽の光の下で、人体破壊描写がこれでもかと出てきます。
15歳未満の方と一緒に観ないようにしましょう。
また、いわゆる3D酔いをするかもしれない事です。
映画なので、綿密に計算されていますが、それでも酔ってしまう方がいるかもしれません。
ちなみに「ハード・コア」という邦画は、全く関係ないので、検索する場合には注意しましょう。
まとめ
ハードコアは、FPSそのものと言っても過言ではない映画です。
喋れないだけでなく、容姿すらわからないのに、主人公に感情を感じられるようになります。
そして、主人公と他人とのコミュニケーションを感じさせる映画となっています。
FPSをやっている方であれば、一見の価値があります。