サッカーの守備において重要な役割を担うセンターバック。屈強な攻撃陣を相手にシュートやドリブルを防ぐ姿は圧巻です。
センターバックは、ただ相手チームの攻撃を止めれば良いと思われがちですが、守備以外にも多彩な仕事を試合中にこなしています。
サッカーのセンターバックはどんな役割が与えられ、どんな個性を持っているのか、有名選手と共にたっぷりとご紹介していきます。
守備の要センターバック
サッカーにおけるセンターバックの第一の役割は、相手選手の攻撃を止めることにあります。
ドリブルを止める対人戦、クロスを跳ね返す対空中戦、パスを防いだり、味方ディフェンダーの応援に回るカバーリングなど多彩な役割を与えられています。
ファウルをファウルに見せない技術も必要で、審判の見えない所でユニフォームを引っ張る、腕をかけたりして動きを防ぐなど、ダーティープレイも欠かせません。
万が一得点を許してしまうと、非難の矛先はセンターバックに集中します。
フォワードは1点決めればヒーローですが、センターバックは試合中のミスが一つも許されない、プレッシャーのかかるポジションです。
ポリバレントプレイヤーも続々登場
ひと昔前までは、センターバックは専門ポジションであり、他のポジションを経験したことがない選手がほとんどでした。
しかし、近年他のポジションからコンバートしてくる選手も多いため、複数ポジションでプレイができるポリバレントプレイヤーが多くなってきました。
例をあげますと、サッカー日本代表の元キャプテン長谷部誠選手が有名です。
長谷部誠選手は、所属チームのフランクフルトでは主にセンターバックとしてプレイしています。
しかし、長谷部誠選手のメインポジションはボランチで、その他にトップ下やサイドバックもこなせます。
チーム事情から、ゴールキーパーを努めた事もありました。
センターバックの役割
センターバックは守備の最後の砦と言われるように、守備に特化した役割が与えられます。
しかし、チームによってはセンターバックも攻撃参加をするチームも出てきており、攻撃の面においてもスキルを磨かなければなりません。
センターバックとは、どんな役割が与えられているのか、一緒に見ていきましょう。
対人戦
センターバックとして第一の生命線と言われるのが対人戦です。
相手選手と1対1になった場面において、シュートを防ぐ、ドリブルを止めるのが最も重要になってきます。
最近まで、Jリーグのセンターバックは相手の攻撃を遅らせて味方選手を素早く戻らせ、複数人数でボールを奪うディレイディフェンスが主流でした。
そのため、対人戦に強いディフェンダーが中々育ちませんでしたが、サッカー元日本代表監督ヴァイド・ハリルホジッチ監督が「デュエル」を提唱したため、
守備の意識が変わり積極的にボールを奪う、対人戦に強いセンターバックが育ってきています。
カバーリング
サッカーの試合において、ディフェンダーの重要な役割となるのがカバーリングです。
常に相手選手と1対1でボールが奪えれば良いのですが、相手選手が連携やドリブルで抜かれてしまうシーンも想定しておく必要があります。
どうドリブルを仕掛けるのか、パスで崩すのかを瞬時に判断して予測したコースに守備をします。
試合の局面が目まぐるしく変わるサッカーにおいて、カバーリングは必須のスキルと言えるでしょう。
対空中戦
クロスやセットプレイで重要なスキルとなるのが対空中戦です。
近年のサッカー戦術は、サイドを起点にして攻撃を開始することを前提にして試合を進めていきます。
サイドを崩した相手選手は、ペナルティエリア内にいる選手に向かってセンタリングをあげます。
そのままにしておくとヘディングでゴールを決められてしまうため、相手選手と競り合ってヘディングに勝たなくてはなりません。
そして、味方選手のコーナーキックやセットプレイでも対空中戦の能力が発揮されます。
ヘディングに強ければ強いほど、正確なクロスが入ればゴールなどのチャンスが生まれます。
キック能力
センターバックで近年重要となってきている役割がキック、パスの精度です。
過去にはボランチやトップ下が試合を作る役割を担ってきましたが、近代サッカーの戦術ではセンターバックが試合を作る役割を担っています。
ボランチにパスを出して、少しづつビルドアップしていくのか、一気に前線までパスを送って攻撃を仕掛けるのか、最終的な判断を下します。
ショートパスはもちろん、ミドルレンジのパスやロングパスの正確さを求められるのが、近年のセンターバックです。
機動力も重要
サッカーの試合において、センターバックの機動力が重要となってきました。
カウンターを主体とするチームが増えてきたため、前線で相手選手にパスが回ってきた際には、素早く自軍ペナルティエリアに戻らなくてはなりません。
足が遅いとゴールに直結する恐れがあるため、アジリティとスピードが要求されています。
センターバックの有名選手
センターバックは、守備主体の役割が与えられているため、一見地味なポジションと思われがちですが、世界的に見ても有名なセンターバックが多く存在します。
日本から、ヨーロッパでセンターバックとしてプレイするのは難しいだろうと言われてきましたが、最近は多くの日本人センターバックがヨーロッパでプレイしています。
日本や世界で有名なセンターバックの選手はどれくらいいるのか、主な選手たちを見ていきましょう。
Jリーグ
Jリーグで活躍する有名なセンターバックと言えば、現役ベルギー代表のトーマス・フェルマーレン選手でしょう。
スペインの名門チームFCバルセロナでプレイ経験があり、卓越した技術と守備力でチームを活性化しています。
日本代表に度々選出されている川崎フロンターレの谷口彰吾選手や横浜マリノスの山中亮輔選手も、見逃せません。
注目選手は、最近日本代表に選出された名古屋グランパスの中谷進之介選手です。
2020シーズン、グランパスのリーグ最少失点を記録した立役者の一人です。
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、日本人センターバックで活躍している選手が多くなってきました。
ディフェンスが世界一厳しいリーグとして名高いセリエAでも、日本代表キャプテン吉田麻也選手がサンプドリアの主力選手として活躍しています。
そして、オランダエールディビジのベスト11に輝いた板倉滉選手も要注目です。
ヨーロッパでは、世界に名を轟かせるセンターバックが世界中から集結しています。
レアルマドリードからパリサンジェルマンに移籍したセルヒオ・ラモス選手、
オランダ代表センターバックコンビのフィルジル・ファンダイク選手とマタイス・デ・リフト選手も有名です。
南米
南米の有名なセンターバック選手の多くは、ヨーロッパでプレイしています。
代表的なのが、現役ブラジル代表のマルキーニョス選手でしょう。
身長183センチメートルと、センターバックとしてはややサイズ感に欠けるものの、サッカーIQの高さと技術で、
世界でもトップクラスに入るセンターバックに成長しました。
ブラジル代表と言えば、長年代表選手として活躍しているチアゴ・シウバ選手も必見です。
ウルグアイ代表のディエゴ・ゴディン選手、アルゼンチン代表のニコラス・オタメンディ選手も要注目です。
まとめ
90分間集中を続け、時にはゴールを守り、時には相手チームのゴールへヘディングを叩き込む、派手なプレイとは無縁ですが、
堅実な仕事とひたむきな姿がセンターバックの見どころです。
普段はテレビの画面に映らないセンターバックの選手も、相手チームのフォワードと高度な駆け引きを繰り返し、攻撃の芽を摘み取ります。
サッカーの試合を観るときは、センターバックの動きにぜひ注目しましょう。意外な個性と役割が見えて、サッカーが面白くなってきます。