サッカーのポジションにはゴールキーパーという特殊な役割を担う選手がいます。
サッカーはスローイン以外手を使ってはいけないスポーツですが、ゴールキーパーは自軍のペナルティエリア内であれば唯一手を使っても良いポジションです。
一見地味なポジションに見えますが、相手チームのシュートを止めたシーンは正に圧巻で、サポーターの心を鷲掴みにします。
しかし、ゴールキーパーには様々な役割があり、サッカーならではの大変さがあります。
今回は、サッカーのゴールキーパーというポジションにスポットを当てて、どんなポジションでどんな仕事をしているのか一緒に見ていきましょう。
サッカーのゴールキーパーは大変なポジション
サッカーにおけるゴールキーパーは、サッカーのフィールド内で唯一手を使う事が認められているポジションです。
そのため、各チーム1人しか試合に出場することができず、先発のキーパーが怪我や退場にならない限り、控えメンバーは出場機会がまわってきません。
ゴールキーパーはフィールド内でただ一人ピッチ全体を見ることができるプレイヤーですので、別名フィールド上の監督とも言われています。
従って、相手チームの動きや選手を的確に見極め、味方チームに指示をする能力も求められます。
頭脳や経験も求められる
ゴールキーパーは監督と同等の役割を担いますので、相手チームの2手先3手先を読む能力が求められます。
高いコミュニケーション能力も必要で、味方選手が動きやすいように、マークやカバーにいきやすいように上手く誘導する必要があります。
そのため、ゴールキーパーは高学歴の選手や頭脳明晰の選手が多いのも大きな特徴です。
そして、先を読むには経験が最も重要な要素となってくるため、経験が浅い若手ゴールキーパーの出場機会がほとんどないのが現状です。
ゴールキーパーの役割
サッカーのゴールキーパーは、特殊なポジションであるため、トレーニングの際にはゴールキーパー専門のコーチがついて練習を行います。
そのため、フィールドプレイヤーと一緒に練習する時は、ランニングなどのアップ、基礎トレーニングと試合形式の練習のみとなります。
さて、ゴールキーパーにはどんな役割が与えられていて、どんな能力が必要となるのか、一緒に見ていきましょう。
キャッチング
ゴールキーパーは、相手選手のシュートを止めるのが最も重要なポジションですので、ボールを掴むキャッチング能力、セービング能力が必要です。
全てのシュートがキャッチできれば良いのですが、チームの状況や怪我を避けるためにパンチングや片手、両手でボールを弾く能力も欠かせません。
更に、コーナーキックやクロス、セットプレイで上空から飛んでくるボールを処理するハイボール処理も練習する必要があります。
ポジショニング
サッカーのゴールキーパーは、シュートをうたれた際、セービングがしやすい位置に体を配置させる能力、ポジショニング能力が必要となってきます。
時々、派手な横っ飛びなどのビッグセーブを見せて観客を沸かせるプレイヤーがいますが、チームとしては危なくて使っていられません。
何故横っ飛びになくてはならないのか、それはゴールキーパーが相手選手のシュートがどの方向でどんな角度で打ってくるのか、
的確な判断ができていないとみなしてしまうからです。
基本は、シュートを打ってくる相手選手の真正面に立ち、近づいたり遠ざけたりしてシュートコースを限定する必要があります。
優秀なゴールキーパーになるには、ビッグセーブをビッグセーブと見せない能力が重要です。その要素がポジショニングとなります。
コーチング
一流のゴールキーパーは、相手にシュートを打たせない、打たせても自分がセーブしやすい場所にシュートを打たせます。
その大事な要素は、ポジショニング能力ですが、コーチング能力も重要です。
自チームが攻撃をしている際は、ペナルティエリア前側に出て、カウンター攻撃や守備に回った時をイメージしながら、
ステップなどをして体を冷やさないようにします。
守備に回ったら味方チームにポジションを的確に指示してボールを奪わせたり、サイドに追い込んだりするのも大切な仕事です。
シュートを打たれる場面になったら、ディフェンダーに指示を出してマークにつかせ、シュートコースを限定させたり、味方選手の身体に当てさせてピンチを防ぎます。
常に声をだして味方を鼓舞し、的確な指示を与える、高いコミュニケーションスキルが必須となります。
キック
サッカーのゴールキーパーは、手を使えますが、同時に足も使えますので、ゴールキックなどのキック能力も非常に重要となってきます。
手でボールを持って、足にトスしてキックするパントキックや、ボールが足元にある状態からキックするフィードキックが代表的です。
一流の選手は、味方選手の特性を見て、足元に落とすか胸でトラップさせるか、ヘディングで競わせるかを判断して、特定の位置まで正確にキックをします。
ゴールキーパーの有名選手
ゴールキーパーは、国によっては花形ポジションになっており、有名選手を多数輩出している国があります。
ゴールキーパーは、特殊なポジションであるため、幼少時はチームで一番上手な選手にキーパーをさせるのが良いのですが、
国やチームによっては一番下手な選手にキーパーをさせている所もあります。
しかし、良い指導者やチームに巡り合えて一流選手に育ったプレイヤーも大勢いるのがサッカーの面白い所です。
ゴールキーパーの有名選手はどんな人なのか、一緒に見ていきましょう。
川島永嗣
川島永嗣選手と言えば、2010年南アフリカワールドカップ本大会から日本代表の正ゴールキーパーを努めており、現在も現役の代表プレイヤーです。
Jリーグの大宮、名古屋、川崎を経てベルギー、スコットランド、フランスと日本人ゴールキーパーでは珍しい、海外を主戦場にしている選手です。
基本的にゴールキーパーは、コミュニケーションの問題から、自国の言葉をネイティブレベルで話せる選手を主体にして加入させていますので、
外国人ゴールキーパーは嫌がる傾向にあります。
しかし、川島永嗣選手は、海外でもしっかりと結果を残しており、日本人ゴールキーパーの中では歴代でも最高の実績を持つプレイヤーです。
西川周作
西川周作選手は、大分でデビューをして、広島でリーグチャンピオンを経験、2014年から浦和でプレイをしています。
西川選手の代名詞と言えば、やはりフィードキック能力でしょう。綺麗な軌道を描き味方選手に正確なキックを送るシーンは、テレビの解説者も思わずうなるほどです。
しばらく日本代表から遠ざかっていましたが、2021年に日本代表に選出され周囲を驚かせました。
マヌエル・ノイアー
海外のゴールキーパーとして有名なのがマヌエル・ノイアー選手でしょう。
2014年ブラジルワールドカップでは、圧巻のセービング力でチームを鼓舞しました。
また、ディフェンスもフィールドプレイヤーレベルにあり、バイタルエリア付近にまで顔を出してスライディングやタックルで攻撃を防ぎます。
ノイアー選手の影響で、前に飛び出してディフェンスに参加するゴールキーパーが増えてきましたが、ことごとく失敗し、
別名ノイアーチャレンジと揶揄されることもあります。
ティボー・クルトワ
現代サッカー界において、世界ナンバー1ゴールキーパーと呼び声が高いのがティボー・クルトワ選手です。
現役ベルギー代表で、2018ロシアワールドカップ日本対ベルギー戦、ロストフの悪夢のゴールキーパーと言えばピンとくる方も多いでしょう。
チェルシー、アトレティコマドリード、レアルマドリードとビッグクラブで正ゴールキーパーを努めてきたクルトワ選手は全てが一級品です。
まとめ
サッカーのゴールキーパーは、特殊な性質と地味に見えがちなポジション、テレビカメラにも中々映らないため、人気があまりないのが現状です。
しかし、スタジアムで試合を見るとテレビでは映らないキーパーならではの役割が見れて、サッカーが非常に面白く感じます。
スタジアムに観戦する時、テレビでサッカーの試合を観る時は、ゴールキーパーに注目してみましょう。
時には黒子、時にはヒーローになるキーパーの魅力が発見できること間違いなしです。