オリンピックの種目にもなっていて、ヨーロッパでは大人気のスポーツ「水球」。
しかし日本ではマイナースポーツで、メディアにも取り上げられることが少なく、なかなか目にすることのない競技です。
そこで今回は水球がどういった競技で1チーム何人でプレーするのかや、どういったポジションがあるかなど、
基本的なルールや観戦時のみどころをわかりやすくご紹介します。
水球【基礎知識】
水球はチーム競技で、プールで行う水中の球技です。サッカーやバスケットボールのようにボールを相手ゴールに入れ、
得点の多いチームが勝ちとなります。
コートとなるプールは深さ2メートル以上で、縦30メートル×横20メートル幅をフィールドロープで区切って試合が行われます。
基本・ルール
- 試合出場メンバーは1チームゴールキーパーを含め7人です。控え選手をあわせ15名以内で構成されます。
- 試合開始はプレーヤー全員がゴールラインに頭をつけ、レフェリーの笛の合図で中央に置かれたボールを奪い合うところからスタートします。
- 試合は4ピリオド制で(1ピリオド8分)、1ピリオドと3ピリオド終了時に2分間のインターバルがあり、3ピリオド終了時に3分間のハーフタイムがあります。
- ハーフタイムをはさんでコートチェンジとなります。両チーム各2回のタイムアウト(1分間)を取ることができます。
- 選手交代は6名までです。どちらかのチームの得点後、ピリオドの開始時、タイムアウト時に交代可能で、1試合何度でも交代できます。
ポジション名と役割
水球のポジション名と役割をご紹介します。
- ゴールキーパー
守護神、最後の砦。時にはカウンターアタックのパスを出す。
- フローター
相手のゴール前にいて、味方のパスからシュートを決める攻撃の要。
- フローターバック
相手フローターの攻撃を抑えて、シュートを打たせない。
- ドライバー(右サイド)
守備重視で、カウンターやボールを繋ぐこともあり。
- ドライバー(左サイド)
攻撃重視のサイドで、ミドルシュートなども狙う。
ゴールキーパー以外は片手でしかボールを扱えません(※足や頭を使うのはOK)。また攻撃時間が30秒以内と決められています。
ファール
水球のファールは主に「オーディナリーファール」、「パーソナルファール」とよばれるものに分けられます。
オーディナリーファール(軽めの反則)
- 攻撃側が30秒以内にシュートを打たなかったとき。
- ボールを水中に沈めたとき。
- ボールを両手で扱ったとき。
- オフサイド。相手ゴールから2メートル以内にボールより先に入ったとき。
他にもありますが、以上のファールを犯すと相手チームにフリースローがあたえられます。
パーソナルファール(重めの反則)
エクスクルージョンファール
- ボールを保持していない選手を、沈めようとしたり、引っ張ったりする行為。
- 両手で相手のパスを妨害したとき。
以上のような反則を犯した場合、エクスクルージョンファールといって退水(退場)になり、
20秒間または攻撃権が交代するまでプレーできません。
ペナルティファール
- 6メートルラインの内側で、相手シュートを妨害した場合。
- ゴールネットを沈めてシュートを決められないようにした場合。
以上のような反則を犯した場合、ペナルティファールといい、相手チームにペナルティスローがあたえられます。
より詳しくは以下のホームページをご覧ください。
「日本水泳連盟」
https://swim.or.jp/wp/
「水球日本代表」
https://japanwaterpolo.swim.or.jp/
ヨーロッパの強豪国と日本代表
ヨーロッパで人気の高い水球。その中でも特に人気があり、強豪といわれる3ヶ国と、日本の水球についてご紹介します。
ヨーロッパ3ヶ国
- ハンガリー
国技が水球のハンガリー。国内のプロリーグも大人気で、オリンピックでは3連覇を含む金メダル9個を誇る強豪国です。
まさに「水球王国」の名に相応しい実績です。
- セルビア
上記のハンガリーをオリンピックの決勝で下し金メダルに輝いたセルビア。
東京オリンピックでも優勝し見事連覇を果たしました。旧ユーゴスラビアからを含めると5個の金メダルとなる強豪国です。
- イタリア
サッカーやラグビーなど球技が強いイタリア。水球も世界ランクトップ5の実力です。
男子チーム女子チームどちらも強く、オリンピックでは男女あわせて金メダル4個の成績を収めています。
強豪国の中で男女ともに世界トップクラスはイタリアだけです。
日本の水球【ポセイドンジャパン】
「水中の格闘技」といわれるほど、フィジカルの強さがものをいう水球。
その点体格的に日本チームはどうしても外国勢にくらべて不利になります。
そこで、それをカバーするために日本選手の特性を活かした「パスラインディフェンス」を編み出し強化しています。
パスラインディフェンスとは簡単にいうと、「相手に攻撃されていてもディフェンシブにならず、
攻撃態勢のポジショニングで速攻を狙う」という戦法です。
相手のパス、シュートをカットして、守りの要ゴールキーパーからのパスで攻撃を始めるとういう、守備から攻撃への切り替えの早さで勝負します。
この日本の戦法が、世界の水球ファンからみてもスピーディーで展開が目まぐるしく面白いと注目を集めています。
日本代表チームの愛称「ポセイドンジャパン」の名のごとく、ギリシャ神話ポセイドンのような力強いプレー、活躍に注目です。
水球観戦【楽しみ方見どころ】
最後は、実際に会場で水球を観戦するときの楽しみ方、見どころをご紹介します。
- 迫力満点、プールサイドにより近いところからの観戦。
水中でのぶつかり合いや駆け引き、格闘家のように鍛え上げられた筋肉など、より間近で迫力あるプレーを感じられます。
- 監督気分で全体を見渡すならスタンド上部席。
チームの作戦や、選手のフォーメーション、パス回しなど、じっくりと観戦するならスタンドの上部がおすすめです。
- 各ピリオド開始時はお静かに。
試合中はガンガン声援を送って盛り上がりましょう。
ただピリオド開始はホイッスルが合図なので、そのときだけはホイッスルが聞こえるよう静かに見守ってください。
- ゴール!ゴール!ゴール!
鮮やかなパス回しや、ゴールキーパーのファインセーブももちろん素晴らしく見どころですが、
やはりシュートが決まると盛り上がりも最高潮に達します。
ゴールが決まれば大声援で選手を讃え、会場みんなで盛り上がりましょう。
まとめ
まだまだ日本ではマイナー競技の水球ですが、関係者の地道な努力により少しづつファン、プレーヤーも増えてきています。
また代表チームの強化も着実に進み、世界の強豪相手にも善戦しています。
もし機会があれば1度試合会場に足を運び、選手の熱いプレー、水球というスポーツの素晴らしさを肌で感じて下さい。