スポーツのなかでも、相当キツい練習をこなすといわれている水球。
「水中の格闘技」ともいわれるだけあって、水球のプレースタイルは、見ているこちらもかなりハードなものだと感じられます。
水泳や球技が得意でも、体力に自信があっても、メンタルがついてこないことで途中で心が折れてしまうこともあるようです。
水球の練習のひとつに、メンタル強化の取り組みもあるとのこと。
もはや、人間のすべてを強化しなければいけないスポーツなのかもしれません。
今回は、水球選手が普段どのような練習をしているのか、そしてもっともキツい練習をご紹介したいと思います。
脚力を鍛えることが重要!「立ち泳ぎ」の練習5選
水球の練習において、立ち泳ぎは基礎のひとつであり必ず取り組まれるでしょう。
立ち泳ぎとは、泳ぐというよりは水中で沈まないように、足の動きを使って浮力を得ます。
そのため、かなりの脚力を鍛えることを要し、シーン別により足の動きを使い分けます。
足の動きのパターンについては、基本的に5種類あります。
巻き足
巻き足とは、水中でカエル足キックを交互にくり返し身体を浮かせる動作です。
巻き足は、水球で最重要な技術とされています。巻足を鍛えることで、足のつかない水中で浮くことができるのです。
まずは水中で身体を浮かせなければ、水球プレーは始められません。
そして、不安定なバランスを保つためにも巻き足で身体全体の軸を整えなければなりません。
浮くことができたら、今度は重りを持って巻き足を強化します。重りは5キロ程度から、どんどん上げていきます。
強い人だと20kgの重りを持って練習をするそうです。
特にキーパーなんかは、日ごろの練習のほとんどが、このような巻き足と、ジャンプするように飛び跳ねる飛びつきの練習ばかりのようです。
重力があっても、浮くことができるようになれば、相手の攻撃にも交わせる技術が備わります。
巻き足が上達することで、安定したパスや、強力なシュートへと繋がるということですね。
蹴り足
蹴り足とは、平泳ぎの足を、伸ばし切らずに止める動作です。
基本的には上に移動する際に使われる動作ですが、前後に移動する際も使われます。
巻き足と蹴り足を使って、飛びつきというプレーを行うこともでき、水球において必須な動作のひとつかと思われます。
蹴り足の動作を強化することで、素早く移動できることやさまざまな場面で応用できることが利点です
あおり足
あおり足とは、足で水を蹴るような動作ですね。
立ち泳ぎをする際は、両足を交互に前後に動かします。前から後ろに移動する際は足の裏、後ろから前に移動する際は、
足の甲で水を蹴り方向転換します。
水中であおり足を強化することで、スムーズに加速することができます。瞬間移動も、このあおり足で可能になるのではないでしょうか。
方向転換だけではなく、泳ぎだしや、リターンパスなどに使える重要な動作のひとつかと言えます。
蹴り足よりも、長い距離を移動できるのも特徴です。
踏み足
踏み足とは、左右の足で、交互に水を踏むようにキックする動作です。
踏む瞬間に少し身体が上がるため、相手を一気に攻撃をしたり、ボールを一気に取ったりする際に活用されます。
引き足
引き足とは、足をお尻のほうにかき、頭の方向と逆に移動する動作です。
水球プレーで、ディフェンスやオフェンスの際の切り替えに使います。
水球の代表選手である荒井陸選手は、1番大事にしている技術とのこと。引き足は水球選手だけがやる動作と言っていました。
引き足を強化することで、相手を引き離し、パスなどをする際に余裕ができます
プルとキックを強化する「へッドアップスイム」
水球にとって、泳ぐことは基本中の基本であり、ヘッドアップの練習は避けては通れないものとなります。
顔をあげて泳ぐため、身体は沈みます。そのため、高いスピードで泳ぐ必要があります。
顎をあげないこと、腹筋に力を入れることを意識し、腕の回転をあげ、キャッチで水に乗り、かきわけ、しっかりとしたキックを行います。
プルとキックが強化されることで、より良いヘッドアップスイムが期待されます。
水球選手の泳ぎが脅威的に速いのは、こうした練習の積み重ねがあってこそなのだと思わされます。
また水球では素早い方向転換も重要なため、180度ターンや90度ターンを極めることも大事とされています。
もっともキツいとされる練習「アニマル練習」
水球の練習で、もっともキツいと言われているアニマル練習。
アニマル練習とは、1対1でポジションキープをするための沈め合いのこと。
試合中に相手を制するためにも、この練習は欠かせないものとなっているようです。
「水中の格闘技」といわれるだけあって、水面下では、審判にバレないよう掴んだり、足を引っ張たりと、
反則行為が繰り広げられることもあるとか。
この練習では、取っ組み合いをして沈め合うのですが、かなりの体力を使うと予想されます。
足のつかない水中で、泳ぎながら、呼吸もままならないまま取っ組み合うわけですから、
それはキツいという言葉以上のキツさがあると思います。
想像するだけで、呼吸が荒くなってしまいますよね。
練習とはいえ、本番に備え、本気で行うのですが過呼吸になってしまう選手もいるようです。
かなり過酷な練習かと思われますが、アニマル練習をすることで
足腰が鍛えられ、水中で踏ん張る力がつき、試合中に自分の身を守ることができます。
相手の威嚇に負けないためにも、水球選手にとって必須項目の練習ということですね。
まさに水球とは命懸けのスポーツといっても、過言ではないでしょう。
まとめ
今回は、水球の練習について、立ち泳ぎとヘッドアップスイム、そしてもっともキツい練習とされている、
アニマル練習についてご紹介させてもらいました。
水球の練習は、客観的に見てもハードな印象であり、生半可な気持ちでは続けられないものかもしれません。
しかし、鍛えられるメンタルと身体は、絶大なものとなるでしょう。
幼少期の頃から、水球を経験をされて、健康な身体と健康な心を培う選手もいます。
戦闘モードが過ぎるスポーツですが、日々の練習の積み重ねがあってこその熱い戦いなのだと痛感させられます。