人力で最速と呼ばれる競輪。
ギャンブルとしても奥が深く、知れば知るほどに引き込まれるのが競輪です。
予想には選手同士の駆け引きも重要なポイントとなります。
選手を知ろうとすれば、この選手がどの大学をでたのか、自転車競技の成績はどうだったのか、気になるところではないでしょうか。
今回は、大学の強豪自転車部とその出身選手を紹介します。
大学自転車競技部の発展と競輪の歴史
現在の日本では海外に比べ、自転車競技が盛んとはいえません。
しかし歴史は意外と長く、1902年には日比谷公園に競走場がつくられ、日本人だけの賞金レースが開催されています。
慶応大学の自転車競技部が発足したのもこの年です。
明治から昭和初期にかけて、日本の自転車産業はとても盛んになり、輸出も行われる重要な産業でした。
競技として定着をした1936年には、日本学生自転車競技連盟が設立され、5校が加盟しています。
早稲田大学、慶応義塾大学、立教大学、明治大学、東京商科大学の5校です。ちなみに東京商科大学は現在一橋大学になります。
戦後になり公営競技の競輪がはじまったのが1948年です。当時は選手資格に年齢制限はありませんでした。
1955年に日本競輪学校が設立されたのをきっかけに受験資格は24歳未満となりました。
その為、活躍する競輪選手の多くは高校卒でしたが、年齢制限が93期(2006年入学)からは撤廃され、大学を卒業した選手も増えてきました。
大学の自転車競技部には競輪選手を目指す学生も多くなり、現在に至っています。
有力競輪選手を輩出した大学はどこ?
大学自転車競技部の有力チームと、その出身選手をご紹介します。
最新の記述以外は、公式で発表されている2016年のデータを元にしています。
大学生の情報なので管理が厳しくなったのかもしれません。
日本大学
創立は1951年。全日本大学対抗選手権自転車競技大会では30連覇を含み52回の総合優勝しています。
競輪選手になった方は29人いますが、全て自転車部ではありませんでした。
スケートやウエイトリフティングから競輪学校に進んだ選手もいました。
坂本勉選手は、日大卒業後に競輪学校57期に入学しました。
1986年にプロデビュー。G1を2勝し、40歳を超えても特別競走で活躍されています。
94.100.117期と3人の息子さんも競輪選手です。また兄、甥にも選手がいる競輪一家なのです。
2011年には引退されましたが、リオ五輪終了までトラック競技のヘッドコーチを務めていました。
2021年の東京五輪では男子ケイリンの先頭誘導員をされていました。
オールスター競輪 1989・1991年
KEIRINグランプリ 1990年
法政大学
創立は1937年 オリンピック、世界選手権、アジア大会など世界大会に多くの選手が出場しています。全日本学生選手権では10連覇しました。法政大学からは15人ほど競輪選手になっていますが、多彩なアスリートたちが卒業後、競輪選手となりました。
アイスホッケー、スピードスケート、アメリカンフットボール、巨人、西武でプロ野球を経験したのちに競輪選手になった宮﨑一彰選手。また競輪創設期の1950年に選手となり、引退後は画家になった加藤一さんも自転車部員でした。
藤原 亜衣里選手は、2012年にガールズ競輪の選手としてプロデビューしました。2016年には名古屋競輪場で初優勝しています。
井上 茂徳選手は、在学中に競輪学校を受験。41期生として合格した為、大学を中退されています。
プロデビュー3年後のオールスター競輪優勝からはじまり、G1を12回、グランプリ3回と輝かしい記録を打ち立てました。
1999年に引退、現在は解説者をされています。
KEIRINグランプリ 1986・1988・1994年
日本選手権競輪 1983年
オールスター競輪 1981年
高松宮杯 1988・1993年
競輪祭 1982・1984・1985年
全日本選抜競輪 1986・1990年
明治大学
創立は1936年。一度廃部になりましたが、1973年から再開された同好会活動で、優秀な成績を重ねた結果、1985年に体育会として復活となりました。
女子選手の育成に力を入れており、日本を代表する選手を多く輩出しました。自転車部から選手になった方は少なく、ほとんどがスピードスケートの選手でした。
石井寛子選手は2013年ガールズ競輪の選手としてプロデビューしました。
ガールズ史上初のデビューから9連勝、8場所連続優勝。
その後も活躍は続きガールズ競輪を開催する全40競輪場で優勝するなど最強の女子選手となりました。
現在もトップレーサーとして活躍中です。
ガールズケイリンコレクション 2013・2014・2017・2019年
ガールズグランプリ 2017年
ガールズケイリンフェスティバル 2018・2021年
特別競輪で優勝した大学出身選手
自転車競技以外のスポーツから競輪選手になる方が多く、競技部からはロードレースの実業団選手となる選手の方が多いのです。
では近年の特別競輪に優勝した大学出身の選手をご紹介します。
101期 三谷竜生選手
関東学院大学出身。ラグビーで活躍していましたが、卒業後は自転車競技に転向しました。
2012年にプロデビュー、順調に昇級し2016年には全日本選手権競輪の決勝に進出しました。
そして翌年の決勝では見事優勝、2018年も連覇する偉業を達成しました。
しばらく低迷していましたが、元℃-uteの岡井千聖さんとも結婚し、徐々に成績は戻ってきています。
日本選手権競輪 2017・2018年
高松宮記念杯競輪 2018年
KEIRINグランプリ 2018年
86期 海老根恵太選手
順天堂大学出身。陸上競技の110メートル競技の選手でしたが卒業後は自転車競技に転向しました。
2001年のプロデビュー初戦の開催で完全優勝を達成する華々しいスタートでした。
2008年には獲得賞金上位となりS級S班に昇班し、その後も特別競輪の常連となり、3勝を挙げています。
しかし2021年トラブルに巻き込まれ現在は謹慎中と思われます。
寬仁親王牌世界選手権記念トーナメント 2009年
KEIRINグランプリ 2009年
朝日新聞社杯競輪祭 2010年
まとめ
ここに上げた大学以外にも、中央大学、早稲田大学、鹿屋体育大学などが、有力な自転車競技部として知られています。
中野浩一さんが成し遂げた世界スプリント10連覇から、日本選手は世界と闘う機会が増えて行きました。
その主力は大学の自転車競技出身の選手たちです。練習方法も近代化され強化施設も充実してきました。
どんどん強くなる若手選手に、大いに期待できる時代になったのではないでしょうか。