現在eスポーツの主要ジャンルの1つであるFSP(First Person Shooter「ファーストパーソンシューター」)は、
プレイ人口の大半を若年層が占めています。
特に多いのが10代・20代のプレイヤーなので、学生という身分の人も多いかと思います。
学生にとっての本分は「勉強すること」ですが、もしもFPSをプレイすると頭が良くなるのだとしたら、朗報です。
そこで、今回はFPSをプレイすると頭が良くなるのかどうかについて、解説していきます。
FPSとはどんなゲームなの?
FPSをプレイすると頭が良くなるのか、ということを解明するには、FPSがどんなゲームなのかを知る必要があります。
まずは、このゲームにどういう特徴があり、どうしたら勝つことができるのかを見ていきましょう。
自分が実際にその場にいる感覚を味わえる
FPSの「FP」とは「First Person」、つまり1人称(自分のこと)の意味です。
そしてFSPの「S」は「Shooter」で、銃を撃つ人を意味します。
ゲームの内容は、お互いが撃ちあいをして生き残った方が勝つ、というものになります。
FPSゲームの最大の特徴は、ゲームをするときに選んだキャラクターの全身が画面に映されることがなく、キャラクターの腕のみとなることです。
あなたが武器を持った姿を自分の目だけで確認しようとしたら、腕や脚など一部分しか見えません。
それと同じ感覚だと思ってください。
つまり、キャラクターに扮したあなた自身が、実際にゲーム内で動き回ることを体感できるゲームです。
FPSで勝つために必要なもの
FPSで勝つためには、本人のスキルと環境が整っていることが大切です。
本人に必要なスキル
- 安定したメンタル
- 基本に忠実なプレイができること
- 論理的に考えること
- 動体視力(反射神経)が良いこと
全てのスキルの基礎となるのが、安定したメンタルです。
メンタルが安定していれば、集中力を保つことができ、落ち着いて考えることができるため、相手よりも優位に立てます。
人間はストレスが強くなると集中力が激減してしまい、視野が狭くなり、慌てた行動をしてしまいがちです。
ゲーム内で慌てていると、敵に見つかりやすくなり、攻撃されてしまいます。
勝つための1番の方法は相手から攻撃を受けないこと、です。
ゲームをする時に、どうしたら相手から攻撃を受けずにすむかを常に考えながらプレイをします。
整った環境とは
- 途切れない通信環境
- 良い武器を持っている
- 快適なプレイ環境
ゲーム中に通信が途切れてしまったら、相手から攻撃を受けても、何もできないため、負けてしまいます。
戦うときの武器は、相手よりも良い武器である方が有利です。
快適なプレイ環境とは、無理な姿勢でゲームをしない・音を拾うためにイヤホンをする・疲れを軽減するための道具を使うなどのことになります。
頭が良くなるってどういうこと?
次に、なぜFPSをプレイすると頭が良くなると言われているのかを見ていきましょう。
FPSに関するものはもちろんですが、世の中にはその他のゲームやゲーム全般が人に与える影響について研究し、発表された論文が数多くあります。
その中で有名なものの1つに、2000年にDaphne Bavelier教授が発表した研究結果があります。
大学教授であり、認知神経科学者です。
1999年にアメリカ・ニューヨーク州のロチェスター大学にて脳および認知科学部門に加入。
2011年からはジュネーブ大学の心理学および教育科学部の心理学部に所属しています。
彼女たちが行った実験をとても簡単に説明してしまうと
- 今までFPSをプレイしたことがない10代・20代の26人を2つのグループに分ける
- 2ヶ月間、週5日ペースで毎日2時間ほどゲームをプレイさせる
- 1つのグループがプレイしたのはFPSゲーム、残りのグループがプレイしたのはシミュレーションゲーム
こんな実験を行い、実験終了後にテストを行いました。
その結果、FPSをプレイしていたグループには
- 記憶力
- 集中力
- 判断能力
などの能力向上が認められたそうです。
この研究結果から「FPSをプレイすると頭が良くなる」と言われるようになりました。
ちなみに、彼女たちがこの実験を行うきっかけになったのは
ということにたまたま気づいたからです。
~FPSの歴史を知ろう~
- FPSゲームが最初に発売されたのは1991年11月。ゲーム名は「Catacomb 3-D」
- ゲームジャンルとして定着したのは1993年に「DOOM」が世界的にヒットしたから
- 日本国内においてFPSが浸透したのは1997年に発売された「ゴールデン007」がきっかけ
ゲームをプレイすることはトレーニングをすること
FPSをプレイすることによって、記憶力・集中力・判断能力が上がったということは、能力向上のトレーニングをしていたということになります。
Daphne教授たちの研究は調査対象がFPSだったため、シミュレーションゲームについての効果は言及されていません。
ですが、シミュレーションゲームをしたグループも、何らかの数値が上がっていた可能性があります。
このようにゲームをプレイすることが、脳や心のトレーニングにつながることは、多くの研究からわかってきています。
日本でも研究をもとに開発されたゲーム「脳トレ」があります。
「脳トレ」ゲームとは
- ニンテンドーが2005年に発売した「脳を鍛える大人のDSトレーニング」のことで、社会現象になるほど大ヒットした
- 簡単な計算や文章の音読などをするゲームのため、ゲームの経験や知識は不要
- 老若男女が楽しめるため、ゲームになじみのなかった年配者を取り込んだ
- ゲームの監修者は東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授
- 思考力や記憶力に関する脳の部分「前頭前野」を活性させる効果がある
ものごとには「適度」がある
FPSをプレイすることで、記憶力・集中力・判断能力などが上がるのはとても好ましいことです。
ゲームも楽しめて、日常生活にも応用できるとしたら、とても理想的です。
ただ、残念なことに「FPSをプレイするだけ」で頭が良くなるわけではありません。
FPSをプレイすることがトレーニングになり、それを勉強に活かせることで成績が上がることにつながります。
ゲームをすることがメインになって、勉強や日常生活がおろそかになっては本末転倒です。
まとめ
FPSに限らず、ゲームをすることが脳のトレーニングになることの研究が、現在世界中で進んでいます。
将来的には「認知症予防にFPSをプレイしよう」と推奨されるようになるかもしれません。
FPSゲームには、記憶力・集中力などの向上が認められていますので、能力が上がった状態で勉強をすれば理解力が深まることでしょう。
ということで、結論としてはFPSをプレイするだけで頭が良くなるわけではない、ようです。
ゲームのし過ぎは、体への負担も大きいので、適度なプレイ時間をおすすめします。