プロ野球を見ているとたまに三冠王という言葉を聞くことがありませんか?
今回はプロ野球での「三冠王」についてまとめています。
プロ野球における三冠王とは?
プロ野球には数々の記録とタイトルがあります。
一つ一つの試合をただ観戦して楽しむのもよいですが、シーズンを通しての様々な記録に注目してみると、また違う目線で楽しむことができます。
そんなプロ野球の記録の中でも最高の栄誉とされている三冠王についてお話ししたいと思います。
三冠王は1シーズンに首位打者・本塁打王・打点王の3つのタイトルを獲得することで、それぞれの記録については以下のように定義されています。
首位打者
1シーズンで最高打率を記録した選手に与えられるタイトルです。
ただ安打を記録すれば良いというわけではなく、首位打者の条件には規定打席というものがあり、それに達していないと打率ランキングの対象にはなりません。
ですので、仮に代打で数打席のみ出場して全て安打を記録したとしても、打率ランキングの対象にはならないということです。
規定打席は試合総数の3.1倍で算出され、2021年の日本プロ野球(NPB)では試合総数143に対して、規定打席443となります。
本塁打王
1シーズンで最も多く本塁打を記録した選手に与えられるタイトルです。
打率とは違い、記録した数の競い合いなので、規定打席に達していなくても選出の対象となります。
安打の中でも打者の力自慢である本塁打の記録は、観ている側からしても爽快なタイトルですね。
打点王
1シーズンで最多打点を記録した選手に与えられるタイトルです。
打点とは、その打者によって走者が得点した場合に記録されます。
安打、犠打、犠飛などによる得点だけでなく、満塁時の押し出しによる得点も打点の対象となります。
本塁打による自身の得点も打点となりますので、満塁本塁打による4打点が1打席での最高打点です。
これらの3つのタイトルを同時に獲得した選手が三冠王となるのです。
また、セ・リーグ、パ・リーグのそれぞれでタイトルが記録されるため、1シーズンで2名の三冠王が誕生することもあります。
プロ野球の歴史にみる三冠王の偉大さ
三冠王が最高の栄誉と言われる理由は、プロ野球の歴史を振り返ると一目瞭然です。
1936年が日本商業野球連盟が発足し、プロ野球リーグのペナントレースが開始されました。
その年から2021年時点で85年という長い歴史となりますが、その間に三冠王を達成した選手はわずか7人なのです。
これほどまでの歴史の中でたったの7人しか達成できていないという点に、三冠王がいかに難しく、達成できたことに栄誉が与えられるということが分かると思います。
素人目には「とにかく試合に出て打てばいいじゃん」と思ったりもしますが、打率・本塁打・打点のそれぞれが違う要素の記録なので、
全てにおいて首位を取るというのは非常に難しいことなのです。
栄光の7人とは?
では実際に三冠王を達成した選手を見てみましょう。
年度 | 選手名 | 所属球団 | 打率 | 本塁打 | 打点 |
1938年秋 | 中島治康 | 東京巨人軍 | .361 | 10 | 38 |
1965年 | 野村克也 | 南海ホークス | .320 | 42 | 110 |
1973年 | 王貞治 | 読売ジャイアンツ | .355 | 51 | 114 |
1974年 | 王貞治 | 読売ジャイアンツ | .332 | 49 | 107 |
1982年 | 落合博満 | ロッテオリオンズ | .325 | 32 | 99 |
1984年 | ブーマー・ウェルズ | 阪急ブレーブス | .355 | 37 | 130 |
1985年 | ランディ・バース | 阪神タイガース | .350 | 54 | 134 |
1985年 | 落合博満 | ロッテオリオンズ | .367 | 52 | 146 |
1986年 | ランディ・バース | 阪神タイガース | .389 | 47 | 109 |
1986年 | 落合博満 | ロッテオリオンズ | .360 | 50 | 116 |
2004年 | 松中信彦 | 福岡ダイエーホークス | .358 | 44 | 120 |
最初に三冠王を達成したのは中島治康選手とされています。
この頃は1年2シーズン制で開催されていたということで、1年を通じたシーズンと比べても本塁打、打点が少ないです。
戦後初の三冠王は、今ではボヤキ監督のイメージが強い野村克也選手で、捕手として唯一の三冠王を達成しています。
長嶋茂雄選手と共に巨人軍全盛期を支えた王貞治選手は、1962年から1972年の間になんと10回も二冠を達成していますが、三冠には惜しくも届いていませんでした。
そして、1973年に悲願の三冠王を達成します。
また、その翌年は四球・敬遠の記録を樹立するほど各球団から勝負を避けられる中での2年連続三冠王達成。
一本足打法から放たれる鋭い打球は今でも記憶の中にありますね。
落合博満選手は1982年に史上最年少である28歳で最初の三冠王に輝いています。
その後も1985年、1986年と三冠王を達成しており、前人未到の3度の三冠王を獲得した唯一の選手です。
監督としても名高いですが、選手時代も素晴らしい成績を残されています。
1984年のブーマー選手は、外国人登録選手として初の三冠王となりました。
阪神タイガースが21年ぶりにリーグ優勝をした1985年。
掛布・岡田・真弓・バースの4選手が30本塁打を記録するなど、圧倒的な打撃力が売りでしたが、
その中でもバース選手は打線の格として猛威を振るい、見事に三冠王に輝いています。
バース選手は翌年も勢いは止まらず、2年連続の三冠王を達成しています。
テレビ中継の解説者が「当たればヒットかホームラン」と言っており、素晴らしいバッティングを魅せていました。
1985年、1986年はバース選手と落合選手がそれぞれのリーグで三冠王に輝いており、1シーズンに2名の三冠王が誕生した年でもあります。
1980年代は多数の三冠王が誕生した時代となっていますが、その後90年代は三冠王を達成した選手は現れませんでした。
そして、2004年に松中信彦選手が18年ぶりの三冠王を獲得しています。
30年ある平成時代の中でただ一人の三冠王ということで、「平成唯一の三冠王」と呼ばれています。
アメリカ メジャーリーグの三冠王について
アメリカ メジャーリーグは1876年のナショナルリーグが始まりとされています。
140年以上の歴史があり、日本のプロ野球以上に長い歴史のスポーツとなっています。
しかしながら、その中で三冠王を達成した選手はたったの16人です。
日本のプロ野球同様、メジャーリーグにおいても三冠王は打者にとって難易度の高いタイトルということですね。
さらに、1967年以降三冠王は誕生しておらず、2012年にデトロイト・タイガースのミゲル・カブレラ選手が実に45年ぶりに三冠王に輝いています。
三冠達成が困難な背景としては、打率に特化した打者が増えているからという分析もあります。
【まとめ】次期三冠王は令和初の三冠王
さて、日本のプロ野球に話を戻すと、松中選手以降も16年間三冠王が誕生していません。
メジャーリーグ同様、役割分担がより明確になりつつある現代野球の中では、更に難易度が上がっているとも言えるのではないでしょうか。
しかし、ぶっちぎりの強さを見せつけてくれる三冠王、応援にも力が入りますし、また現れてほしいですね。
そして、次に三冠王になる選手は「令和初」という肩書きが付いてきます。
この栄冠を手にするのは誰でしょうか?
今後のプロ野球からも目が離せませんね。