ファーストの守備と聞くと、簡単と思われる人が多いのはないでしょうか。
確かにセカンドやショートのようにボールに飛びついて、
素早く送球するといった激しい動きは少なく野手からの送球を捕球しているだけで、簡単そうに思います。
ファーストのポジションに付く選手も大柄のホームランバッターや外国人選手がほとんどで、ずっしりと守っている姿をよく見ます。
しかし、ファーストには、隠れた技術が多くあり、決して簡単なポジションではありません。
ファーストの選手は、どんな送球が来ても、当たり前のように簡単に捕球しています。
この捕球という動作にファーストならではの、たくさんの難しい技術が詰まっているのです。
簡単そうに見えると思われがちなファーストのポジションですが、捕球についてどのような技術があるのか詳しく見てみましょう。
ファーストの捕球姿勢
ファーストは、内野手の中で、一番多く送球を受けるポジションです。
そして、確実に送球を捕球しなくてはなりません。
そのためには、捕球の基本動作をしっかり体に染み込まさなければなりません。
では、どのような基本動作があるのでしょうか。
送球を待つ姿勢
打球が内野ゴロになると、ファーストはまず、ベースの位置を確認します。
次に右利きの場合は、左足でベースを踏み、右足もベース付近に置き、送球を待ちます。
これが送球を待つ、基本姿勢です。(利き足が左の場合は、この逆になります。)
ここで重要なのは、ベースの位置を足でしっかりと確認しておくことです。
ファーストに送球された
ファーストから見て、右側に逸れそうな場合は、ベースのライト方向側を踏み送球をキャッチします。
逆に、左側に逸れそうな場合は、ベースのホーム方向側を踏み、送球をキャッチします。
当たり前ですが、送球をキャッチできる範囲を少しでも広くできます。
この動作をスムーズにできるようにするにも、前述の送球を待つ基本姿勢ができていなければなりません。
ミットの位置
野手から送球があれば、ファーストミットを送球に近い位置へ出し、出来るだけボールを早くキャッチできるようにします。
この動作は、野球中継でよく見る光景と思います。
少しでも早く送球を捕球し少しでも多くのアウトを取るために、に非常に細かい動作をしていますね。
セカンドやショートが華麗に打球を処理しても、ファーストが捕球できなければ、アウトを取る事はできません。
ファーストがしっかりと捕球姿勢を整えていることで、ファインプレーも成立していると言えるのではないでしょうか。
ファーストで捕球が難しいと言われる理由
綺麗なストライク送球が来ることはあまりありません。
左右にずれることもあれば、難しいバウンドになることもあります。
次は、ファーストのポジションが特に難しいと思われる場面に注目してみます、
微妙なバウンド
微妙なバウンドを捕球することは、ファーストの守備で、まず難しいと言われる場面ではないでしょうか。
キャッチャーも同様の場面がありますが、ボールがショートバウンドする時が、微妙なバウンドの代表です。
初心者だと、捕球することはほぼ不可能です。
しかし、野球部の人は簡単にショートバウンドを捕球しています。
どうやったら捕球でるようになるかというと、答えは「慣れ」です。
誰でもすぐに、ショートバウンドを捕球できるような裏技は、ありません。
何回もショートバウンドを捕球する練習をして、自身の感覚でコツをつかむ必要があります。
また、ショートバウンドを捕球できるようになると、自分が取りやすいバウンドがつかめてきます。
捕球することが優先する
体を伸ばせば、ノーバウンドで捕球できますが、少し体に近い位置で捕球すればショートバウンドになるような微妙な送球もあります。
この場合は、迷いが出てしまい、捕球姿勢を整えるが遅れ、捕球できずにアウトを取りそこなうことが多いようです。
対策としては、自分が得意とするバウンド、体制で捕球することを優先するのが良いと言われています。
体を伸ばし、送球に近いところで捕球することは大切です。
しかし、そこに必着しすぎて捕球できずに、アウトを取りそこなうことは、あってはならないことです。
体が硬く、低い送球を捕球するのが苦手な方は、体を少し引いて、ショートバウンドで捕球するようにした方が良いです。
高い送球
どれだけ捕球技術が合っても、手をもばしても届かない高い送球は捕球することができません。
なので、ファーストは、身長が高い選手がポジションに付くのが好ましいとされてます。
プロ野球では、体格の良い外国人選手がファーストになることが多いです。
それは、守備範囲が狭くても、大きく外れた送球でも捕球できることが理由です。
体が大きく、パワーがあるけど、素早く動くことが苦手な方も多いと思います。
しかし、体が大きいことも才能の1つです。
その才能をファーストのポジションでは、生かすことができる機会があります。
ファーストの名手
プロ野球で、守備の名手と聞いて頭に浮かんでくる選手は、やはりセカンドやショートの選手ではないでしょうか。
しかし、ファーストでもたくさんの名手がいます。
次は、プロ野球でもファーストの名手と呼ばれる選手を紹介していきます。
駒田徳広
ファーストの名手と言えば、まずは「駒田徳広」が思い浮かぶ人が多いと思います。
グラブ捌きが非常に上手く、野手に安心感を与えていました。
「駒田徳広」がファーストを守っていると、難しい送球でも難なく捕球してくれるので、野手は、安心して思い切ったプレーができるようになっていました。
そして、ゴールデングラブ賞を10回も受賞しています。
ファーストとして、10回も受賞していることは、プロ野球史上最多となっています。
また「駒田徳広」を有名にしたこととしては、満塁に強いということです。
通算本塁打数は195本ですが、なんと満塁本塁打は13本です。
清原和博
打撃の成績に目が行きますが、実は守備力も非常に高いと言われています。
プロ入り当初の守備力の評判は、良くなかったですが、徐々に技術が向上し、ファーストでゴールデングラブ賞を5回も受賞しています。
また、サードの守備につくこともありましたが、難なくこなすことができました。
あまり練習をしていないサードでしたが、そつなく守備をこなすところをみると身体能力が凄く優れていたのだと思います。
王貞治
誰もが知っている世界のホームラン王ですが、守備力も実は非常に高いです。
通算守備率は.994という高い数値を残しています。
ショートバウンドやハーフバウンドの処理は非常に優れており、野手に信頼されていました。
高い守備力を裏付けるように、当時のゴールデングラブ賞であるダイヤモンドグラブ賞を9回も受賞しています。
まとめ
ファーストは、送球をキャッチするだけで簡単そうに見えますが、多くの技術が必要で奥が深いポジションです。
そして、絶対に取らなくてはならないというプレッシャーもあります。
長く続けるには、技術面だけではなく、メンタルも強い必要がありそうです。
また、ファーストを守る選手の人柄で、良い送球が来る場面が多くなるという意見もあります。
確かに、怖い先輩に送球する時は、緊張すると思います。
捕球技術は、もちろんですがこの人だったら投げやすいと野手に思われるような人柄もファーストのポジションには必要です。
ファーストとは、技術と人柄両方に才能がいる、とても難しいポジションかもしれませんね。