野球は日本で長くプレーされているスポーツであり、これを題材にしたテレビゲームも多く発売されてきました。
現在でも数多くの野球ゲームが発売されており、そのリアルさや面白さには目を見張るものがあります。
しかしながら、最初期の野球ゲームにも面白いものはたくさんありました。
この記事では、ファミコンにおける代表的なゲームを5つ紹介していきます。
代表的なファミコン野球ゲーム
プロ野球ファミリースタジアム(ナムコ)
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1986年に発売された「プロ野球ファミリースタジアム」。
現在において野球ゲームの大定番と言えば、コナミから発売された「実況パワフルプロ野球」シリーズと並ぶこのシリーズであることは、疑いの余地はないでしょう。
「ファミスタ」の愛称で親しまれ、のちにはこれが正式名称となっていきます。
(なお、「パワプロ」はスーパーファミコンが初出です)
このゲームでは、先に任天堂から発売された「ベースボール」における不満点がほぼ解消されており、それらがそのまま特長となっています。
選手に個性が付与された
選手ごとに名前や能力値が割り当てられ、選手個々への感情移入がしやすくなりました。
名前は、当時のプロ野球選手の苗字がそのまま使用されています。
ただし、5文字以上の姓をもつ選手は変更されています(クロマティー→くろまて、小早川→こばや、など)。
ピッチャーも4人(先発型2名、リリーフ型2名)おり、投手ごとにスタミナ値も採用されたため、継投ができるようになり、かつ重要な要素となっています。
バッター間の能力も差別化されています。
パワーヒッターは足が遅い、俊足のバッターはパワーが足りない、という具合です。代打も4人設定されています。
まさに本物の野球のように、場面ごとの作戦を考えるのが楽しくなりました。
守備を自分でできるようになった
打球を処理したり、どの塁に送球するかを指定したりすることが可能になりました。
無駄にランナーを進塁させることもなく、ストレスなく試合が進みます。慣れてくると、華麗にダブルプレーを決めることもできます。
臨場感のある画面構成
画面構成も進歩しています。
試合開始時はバックスクリーンが表示され、BGMが流れます。これから試合が始まるんだ、というワクワク感が演出されます。
その後、バックネット側からの視点でピッチャーとバッターが表示され、プレーに移ります。
画面が縦に3分割されており、1塁と3塁は別画面となっています。
これにより、自然な形でランナーが表示され視認性も良くなっているのが素晴らしい点です。
バッターが投球にバットを当てると、画面が切り替わり球場全体が表示されます。守備や走塁はこの画面上で行われます。
また、ホームランを打つとちょっとした演出があります。シリーズを追うごとに、この演出も進化していきます。
こういった画面の切り替えによるメリハリも、ゲームのテンポを良くしている要因と言えます。
チームの選択肢が増えた
任天堂の「ベースボール」が6球団だったのに対し、「ファミスタ」では10球団に増えました。
セリーグはおおむね実在のチームに準拠していますが、容量の関係からか、パリーグは3チームに圧縮されています
(ロッテ・日本ハム→フーズフーズ、南海・近鉄・阪急→レールウェイズ)。さらにオリジナルチームとしてナムコスターズが設定されています。
このゲームが発売された当時は、巨人や西武がとても強かった時代です。
そのため、ゲーム中でもやはりガイアンツやライオネルズは投打ともに強力でした。
混合チームであるフーズフーズやレールウェイズも、いい選手が選ばれて入っているため総合力が高いです。
総じて不満点が少なく、今遊んでも十分楽しめる内容です。
ゲームシステムが完成されており、現在までシリーズが続いているのもうなずけるでしょう。
燃えろ!!プロ野球(ジャレコ)
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1987年に発売された「燃えろ!!プロ野球」通称「燃えプロ」。
このゲームの特徴は、ゲーム画面が「ピッチャーの背後からの視点」であるところです。
これにより、野球中継さながらのプレーが楽しめます。選手も実名表記となり、チーム名や球団数も現実のプロ野球チームと同様のものが用意されています。
選手の造形や動きも、ファミスタのようなデフォルトされたものでなく、
実際のモーションが再現されたものであり、ファミコンソフトとしては非常にリアルなものになっています。
また、ファミスタに比べ視点が変化したことで、操作にも若干の変更が加えられています。
バッティングの際は、十字キーでコースを指定した上でAボタンを押します。キャッチャーミットの動きを見ながらコースを指定するのがポイントです。
このゲームのもう一つの特徴としては、「バグの多さ」が挙げられます。
有名なところでは、「バントホームラン」があります。
一部の強打者は、バントの構えをしていてもバットに当たればホームランになってしまいます。
また、どのバッターも、ファウルを打ったら次の投球は「必ず」ストライクになります(たとえバッターの膝の裏を通過するようなボールでも)。
今ではちょっと考えられないバグですが、当時のゲーム事情を考えると「これも味」と言うことになるかも知れません。
ファミスタとは違う意味で、面白みのあるゲームではないでしょうか。
究極ハリキリスタジアム(タイトー)
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1988年に発売された「究極ハリキリスタジアム」。こちらは、「ハリスタ」の愛称で知られました。
ファミスタとの類似点も多いこのゲームですが、最大の特徴は「選手を成長させられる」ことでしょう。
選手が成長すると、ピッチャーは炎をまとった魔球が投げられるようになり、バッターも長打力が増していきます。
お気に入りの選手が成長する様は楽しいものがあります。
他には、「メリハリのある演出」が挙げられます。
クロスプレーになると、そのプレーがズームアップされたり、継投の際にはピッチャーがリリーフカーに乗って登場したりします。
某有名実況者と解説者の掛け合いシーンも随所に挿入され、試合終了後にはハイライトシーンが流れます。
このように、プレー以外の部分が豪華なのが「ハリスタ」の魅力と言えます。
ちょっと変わったファミコン野球ゲーム
ベストプレープロ野球(アスキー)
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「ハリスタ」と同年の1988年発売の「ベストプレープロ野球」。このゲームは、プレーヤーが選手を直接操作できません。
プレーヤーが行うのは、試合における選手のマネジメントです。
スターティングオーダーの決定や選手交代、バントや盗塁・選手交代などの采配、守備シフトの指示を行うことができます。
ピッチャーのスタミナ値もきちんと設定されていますので、継投のタイミングを考えるのも楽しいです。
もうひとつ、全選手の能力値をエディットすることが可能です。
これにより、現在のプロ野球リーグの優勝予想を占う、こともできます。選手を直接操作することこそできないものの、監督目線で試合を楽しむことができます。
「野球ゲームは操作が難しいから苦手」という方でも、ゲームを通じて野球の面白さを再確認できます。
水島新司の大甲子園
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水島新司氏の漫画原作を元に、明訓高校が甲子園優勝を目指すストーリー性のあるゲームです。
このゲームの特徴は、「操作がコマンド選択式」であることです。
投球時にコースや球種をコマンドで選択し、バッターもそれを予測して打つコースを選択します。
コースが一致すればヒットやホームランになる確率が高くなり、外れれば空振りや凡打になる確率が高くなります。
各選手には能力値が割り当てられ、原作に登場するキャラには「ごうだ」「超速球」などの必殺技が備わっている場合もあります。
顔グラフィックも原作に忠実で、原作ファンにはうれしい要素でしょう。もちろん、原作を知らない方も楽しめるシステムです。
コマンド選択式であること、球場の全体図と場面ごとのシーンをアニメ表示していることなどから、テクモのサッカーゲーム「キャプテン翼」との類似点を見出せます。
まとめ
現在のハイスペックなゲーム機で遊ぶゲームも大変面白いですが、機会があれば、野球の面白さが凝縮された旧世代のゲームで遊んでみるのもいいのではないでしょうか。